特別企画

【今日の読み切り】「超客観的基礎ラブロマンス概論」

「諦めたいくらい、諦めたくない」男子にラブレターを書きたい女子高生と、現代文教師タナセンの恋愛課外授業!

【超客観的基礎ラブロマンス概論】

著者:ココカコ/犬童燦

集英社

 タナセンは現代文担当の教師。タナセンの元に1人の生徒「海堀ちいか」が「ラブレターの書き方を教えてほしいの!」と駆け込んでくる。

 本作は、ジャンプ+にて配信されている読切「超、天才」の原作者、ココカコ氏と、ヤングジャンプ新人漫画大賞「ラスト、以上」などを手掛ける、犬童燦氏による作品。「となりのヤングジャンプ」にて2024年6月より配信されている。

 タナセンの元へ来た女子高生、海堀は、文芸部の檜山にラブレターを渡したいと思っている。やむなく引き受けることにしたのだが、蓋を開けてみるとラブレターどころの話ではなかった。海堀の文章力は壊滅的だったのだ。

 最初は気乗りしていなかったタナセンだが、国語教師としてのプライドに賭けて、本腰を入れて海堀のラブレター制作に尽力していく。努力の末にラブレターは完成するが、海堀は土壇場で怖気づいてしまう。そこでタナセンは、“最後の補習”を海堀に言い渡す。

 リアルな女子高生の心情と、タナセン自身の背景にあるものを照らし合わせて読むと大変感慨深いものがある。海堀へ向けた最後の補習は、まるで自分にも向けられているかのように、ストンと胸に落ちるものがあった。論理的に説いているようだが、そこにはちゃんと心がある。

 最後まで読むと少し心が軽くなって、なんだかやる気をもらったような素敵なストーリーになっている。健気な女子高生の恋の行方と、教師という立場でどこまで踏み込んで向き合うべきかと、葛藤するタナセンの雄姿を是非その目で見届けてほしい。

□となりのヤングジャンプ「超客観的基礎ラブロマンス概論」のページ

【あらすじ】

 高校で現代文の先生をしている通称・タナセンは教え子の女子生徒、海堀にラブレターの添削を頼まれる。自身の過去のトラウマから生徒の悩みには踏み込まないと考えるタナセンだったが…。