特別企画

【今日の読み切り】「嘘つき大工と神様の木」

遥か南海の島国にあるとされる幻の香をめぐる物語

【嘘つき大工と神様の木】

著者:フィビ鳥

集英社

 白夜香(びゃくやこう)、それは遥か南海の島国にあるとされる幻の香。その製法は門外不出で、限られた人にしか伝授されない。十余年ごとに修繕工事が行なわれる、白夜香工房の宮大工を除いては……。

 「嘘つき大工と神様の木」は、2023年11月から「少年ジャンプ+」にて配信されているフィビ鳥氏の短編作品。不思議な樹液を流す神様の木と、1人の宮大工が巻き起こす残酷で美しい、血の通う命のやりとりが物語られている。

 主人公グァンは、白夜香工房で働く宮大工。この島に来てかれこれ15年になろうとしているが、実は彼はある国から依頼を受け、白夜香を盗みにきた密偵だった。グァンは機会を逃さず、白夜香を産出するという神の木を盗み出すことに成功する。その木は、人間のような目を持っており、足を付けてやると歩き出す不思議な木だった。

 神話や伝説のような不思議さのあるストーリーは、思わず前のめりになって見入ってしまう。結末が気になり、ページをめくる手が止まらない物語だ。

□ジャンプ+「嘘つき大工と神様の木」のページ

【あらすじ】

 幻の香料「白夜香」は、“神様の樹”の樹液から生まれる。噂を聞いた彫り師・グァンはある目的を果たすため、その樹を盗み出す計画を立てた。運搬のために足を彫り、口を彫り、言葉を交わす中で樹は徐々に意思を持ち……