特別企画

【今日の読み切り】「皆やっている」

黒魔術によって炙り出される人の本性

【皆やっている】

著者:Tamamushi

集英社

 幼少期、ごっこ遊びに興じている鏑矢黒子と幼馴染のハナ。「皆もやってんじゃん」、そう言ってハナは鼻くそを食べる。そう、“皆もやってる”から――。

 本作は、2021年4月から「少年ジャンプ+」にて配信されているTamamushi氏の短編作品。同調圧力、見て見ぬふり、社会に身を置く人間の本質が問われる、心を抉られるストーリーが展開する。

 思い出の時から7年後、ハナは教室内でカースト上位軍に入り、かたや黒子はいじめっ子の水差からターゲットにされている。「うまくやり過ごすして馴染めばいいのに」と、助言してくるハナを、黒子は黒魔術で異世界へと飛ばす。その世界では、パプカ人に対する激しい人種差別と隔離政策が行なわれていた。

 普通ではない状況でこそ、人の本性は垣間見えるもの。自分自身がやったことを周りのせいにしてはいけない。寓話的でありながら、現実の問題とも重ねられる部分が多く、読んでいるといろいろな事を考えさせられる作品となっている。

□ジャンプ+「皆やっている」を読む

【あらすじ】

 夢現の狭間で炙り出される本音……。クラスのカースト上位にいるハナは、鏑矢の黒魔術で不可思議な世界に飛ばされてしまうのだが……。