特別企画

【今日の読み切り】「ドラゴンの介護屋」

トラウマを抱えながらもドラゴンと向き合おうとする主人公のハートフルストーリー

【ドラゴンの介護屋】

著者:島村真人

集英社

 主人公トガノは、ドラゴンと人間が共存する島に暮らす少年。トガノの家は、年老いたドラゴンやケガをしたドラゴンの世話をする、ドラゴンの介護屋を営んでいる。だが、トガノは幼い頃、母イバナが介護するドラゴンによって顔に傷痕が残るほどの深手を負わされてしまう。それがトラウマとなり、介護屋の息子ながらもドラゴンを遠ざけるようになっている。見兼ねたイバナは、大人しく優しい気質の老体のドラゴン「ギル」の介護を任せることにした。

 「ドラゴンの介護屋」は、2018年12月から「少年ジャンプ+」にて配信されている島村真人氏の短編作品。

 優しいドラゴンだと言われていても、やはりトガノにとってドラゴンはドラゴン。恐いものは恐い。しかしあることをきっかに献身的にギルのお世話をするようになる。段々とギルとの心の距離も近くなり、寝床を共にするようにまでなっていく。

 やっとドラゴンへ心を開きつつある最中、かなりの老体であったギルとの別れがくる。ここまでのいきさつや、トガノの心の変化、命がいかに尊いものであるかを真っ直ぐに伝えてくれる物語。読めばきっと清浄な涙が流れ、心が洗われるような気持ちにしてくれる、そんなハートフルストーリーとなっている。

□「ドラゴンの介護屋」を読む

【あらすじ】

 怪我をした竜の面倒を見る「ドラゴンの介護屋」の息子トガノ。彼はかつてドラゴンの世話をする際、怪我をしてしまった過去があり、苦手意識を持っていたのだが…。