特別企画

【今日の読み切り】「余白の世界」

お笑いグランプリでトップになれないのは相方のせい? それとも……

【余白の世界】

著者:山原中

講談社

 お笑い芸人の真島は、アルバイトをしながら漫才日本一を決める賞レースで優勝を目指している。漫才で天下を取るという夢に固執する真島は、自分の理想についてこられない相方を切り捨てていき、いつしか「相方潰し」の異名を付けられてしまう。ある日バイト先で、元相方が漫才グランプリで優勝した姿をTVで観て、くやしさが溢れる。

 本作「余白の世界」は、お笑いの世界を舞台にした山原中氏の短編マンガ。2021年前期・第79回ちばてつや賞一般部門の大賞を受賞しており、「コミックDAYS」にて2021年7月15日より配信されている。

 お笑い芸人だけに限らず、本職だけでは生活できずにアルバイトをするというエピソードを耳にすることはある。夢を追いかけ「いつかは売れたい」、「天下を取りたい」とストイックに、一途に進む姿はかっこいい。

 自分では一生懸命頑張って努力もしているのに、ちっとも思い通りに行かない時、環境や人のせいにしたくなる気持ちも痛いほど伝わってくる。元相方から感謝の言葉を伝えられても、今の自分の姿と比べてしまい、劣等感しか感じられないという気持ちも理解できる。ほんの少しだけ視点を変えてみれば、案外自分の目指す未来の姿に近づけるかもしれないと感じられる作品となっている。

【あらすじ】

漫才日本一を決める賞レースで、優勝したのは「元相方」。お笑い芸人の真島は、漫才で天下を取る夢に固執して、ついてこられない相方は切り捨てる。ついた異名は「相方潰し」。未だ準決勝止まりの劣等感と、意識の低い現相方にイライラを募らせながら、不退転の覚悟で臨んだ翌年の賞レースで事件は起こる。

2021年前期・第79回ちばてつや賞一般部門の大賞受賞作品。