インタビュー
集大成でありフラッグシップ。「THE ZEBRA」の油性ボールペン「HAMON」はゼブラの技術”全部入り”!
2026年3月4日 00:00
- 【HAMON】
- 3月4日 発売予定
- 価格:
- 59,400円
- 1,430円(専用替芯)
一般的に、社名をそのまま冠したシリーズはハードウェアでもファッションでも、あるいは腕時計でも、社運をかけたフラッグシップシリーズとして設定されることが多い。
3月4日にゼブラが新たなブランド「THE ZEBRA」として立ち上げ、第1弾の商品として発売する油性ボールペン「HAMON」もまさにそう。120年以上に渡って文房具を作り続けてきたゼブラが満を持して手掛けるアイテムとなり、価格はなんと59,400円。いわゆる高級万年筆にも匹敵する価格帯であり、もちろんゼブラのラインナップの中でも超ハイエンドモデルとなる。
削り出しのアルミ軸を採用し、「サラサクリップ」や「シャーボX」など歴代製品で培った技術がフルに生かされているという「HAMON」。今回は「THE ZEBRA」というシリーズが一体何なのか、そして「HAMON」には一体どんな技術や想いが込められているのか。「HAMON」の実物を前に、ゼブラ 研究本部 研究部 シニア・プロフェッショナル 中田裕二郎氏に話を聞いてきたので、その内容をご紹介する。
横回転の切削で波紋模様を削り出し!?1本1時間以上をかけて作られる「HAMON」のボディ
そもそも「THE ZEBRA」の企画が動き出したのは3年半ほど前。かつては銀製の高級ペンを作っていたこともあったが、最近では高級ラインがなくなってしまっており、「自分たちで本当のフラッグシップモデルを作ろう」「価格も万年筆並みのボールペンにしよう」というところから動き出した。
その第一弾となる「HAMON」はまさに技術てんこ盛りといった仕様になっているが、まず目を惹くのはクリップ周辺に”波紋”模様が掘られたアルミ軸のボディ。これは一見”形を作ってから模様を削っている”のかと錯覚するが、これはアルミの棒材を横方向に回転させ、さながら一筆書きのように、自動旋盤で模様を含めて本体を削り出しているのだという。デザインはその後に続く内部機構の設計にも影響があるため先に決める必要があったが、色々と案を出す中で「日本の自然の美」を体現する波紋模様に決定。まずデザインが決まってから「このデザインを実現するにはどうしたらいいか」を詰めていき、プログラムにより精密に削り出すことに決めたのだという。
このボディの製作にかかる時間はなんと1本1時間以上。「価格の1/3はこのボディのため」というだけあり非常にハイコストな設計となっているが、削り出しにしたことで、強度のバランスを見ながらもギリギリまでボディを薄くすることができ、結果として軽量化にも繋がった。本体の重量は約30gで、持ってみた感じもかなり軽量。一方で本体下部に重りを内蔵することで筆記しやすいバランスに整えられているほか、ペン先も全く遊びがないため筆記時に軸が全くブレない。タイトな内部構造や重りの仕組みそのものは「ブレン」シリーズに着想を得たものだが、「HAMON」の内部構造はそれを遥かに上回るほどビタビタにタイトな作りとなっており、クリアランスがほとんどないのだという。
また、ボールペンも含む筆記具のペン先というのはある程度使い込んでいくことでカドが取れ、書き心地が滑らかになっていくものだが、「HAMON」の中芯には特別になじみ処理を加えた「エイジングチップ」が搭載されており、はじめから全く引っ掛かりのないスムーズな書き心地を実現。「詳細は秘密」とのことだが、実際手にとって書いてみると、本体バランスと相まって非常に気持のいい書き心地が味わえた。
ボディのカラーバリエーションは「銀色」、「水藍色」、「鋼色」の3色となり、これらも様々な景色、時間帯の水のイメージを膨らませながら決定していった。色はアルマイト処理で表現しているが、例えば銀色は過剰にギラギラしないように、水藍色では”水色”の要素が色の出方によっては安っぽくなってしまったりするので、そうならないよう高級感が表現できるよう調整を重ねているという。
さらに注目したいのはペン先付近に配された透明なインク窓。今では当たり前となっているペンのインク残量が見える仕組みを最初に作り上げたのは実はゼブラであり、その商品は1966年に発売された、透明軸を採用した「クリスタル4100」。「HAMON」もこのエッセンスを受け継ぎ、金属軸でありながら残量が見える仕組みが組み込まれている。
これも最初は四角い窓のようなものをつけてみたが、これではどうにも見栄えが安っぽくなってしまう。そこで「インク残量が見えること」と「高級感」を両立させるため、透明度が高く、歪みがなく、かつ窓が存在を主張しすぎないような形にブラッシュアップしていった。特筆すべきはその構造で、よく見ると金属部分と透明部分は単に繋がっているのではなく、金属部分が透明窓内部にせり出すような形で組み合わせられている。視認性はもとより、デザインとしても非常にカッコいい。
内側に金属部分が覗くことでインク窓の主張は控えめに、それでいてインク残量はクリアに見える。より細かいところでは、金属と窓の接合部分は実は密着しておらず、少し浮いている。これによって反射を抑え、金属部分の輝きがさりげなく主張するデザインが実現されている。さらに「鋼色」のみ、本体と馴染むよう「銀色」、「水藍色」と比較してやや暗めの色のパーツが使用されているというこだわりようだ。
機械時計のような精緻な内部構造。静かで滑らか、ずっと触っていたくなる仕組み
ボディもさることながら、中の仕組みも凄い。「HAMON」は「シャーボ」シリーズ同様本体を捻って中芯を出すツイスト式となっているが、その手触りは既存のものとは全く異なる、”ヌルり”とでも表現したくなるようなものだ。従来ツイスト式のペンは”動かしてロックする”仕組みであったため、出し入れの際にはカチャカチャとした音と手触りがある。「シャーボ」も発売当初はかなり滑らかだと評価されていたそうだが、「HAMON」ではこれをなくすため内部機構を一新。さらに専用のスペースを確保し、中に潤滑剤を封入することで滑らかな駆動を実現している。
加えて、ツイストして中芯を出すと、クリップが本体に収納される「リトラクタブル バインダークリップ」を搭載。「サラサクリップ」のように大きく開くクリップを採用しながらも、ガジェット的なガチャガチャとした動作ではなく、ツイストの動作にあわせて静かに、滑らかにクリップが出入りする。
クリップは付け根部分から大きく開くのがポイントで、見た目はシンプルながら広い可動域を確保。さらに収納時のクリップは筆記の際手には当たらず、それでいて机上などに置いても転がらない絶妙な高さに設定されている。加えてクリップがある箇所の本体側にはカバーが設置されており、クリップの出入りに合わせて上下に動く。
つまりは「本体のツイストに合わせてクリップとカバーが上下し、それでいてクリップの可動域が確保されている」構造なわけで、こう言うのは簡単だが、この小さなボディにみっちりと詰まった作動メカの内部構造を見ると、各部品がさながら機械式時計のように組み合わさっている。これも全ては「厚手のジャケットの胸ポケットなどにもクリップできるように」「服などにクリップしている際、本体にホコリなどが入らないように」という実用性にこだわるため。それでいて動かしても壊れない耐久性をもたせるため幾度もシミュレーションを繰り返し、中田氏をして「わけがわからないほどに複雑」な仕組みが実現されている。
そして「THE ZEBRA」シリーズの肝となるインクと中芯。中芯はなんとゼブラ社内で3名しかいないマイスター制度の認定を受けたスタッフが1本1本手作りしており、インクも足掛け10年ほど開発を続けてきたインクが採用されている。
中芯は「エイジングチップ」搭載のペン先、先述のインクが見える構造を実現するためのクリア部分、金属製のインクタンク、ボディの内側に接し、滑らかなツイスト駆動を支える樹脂製のスプリング止め部分など、多様な素材でできた複数のパーツを組み合わせて作られており、中でも一見ゴムのようなものを撒いただけに見えるスプリング止め部分が、実はタンクを前後に分割する構造になっているのは面白い。
一般的に中芯は金属の成形品が採用されるのが常であり、開発段階の試作ならいざ知らず、量産モデルでも中芯が全て手作りというのは界隈を見回してみても異例だ。これは「HAMON」が求める理想のスペックのひとつ、「外から見た時にインク残量がキレイに見えること」の実現のためだ。特に樹脂製のクリア部分はより高い視認性を求めて内部がキレイに磨き上げられているが、内側が滑らかだと従来のインクでは壁にへばりついてしまうというデメリットがあった。
ゼブラはインクの研究を絶えず続けているというが、今回採用されたのは研究に7年近くを費やした新たな油性インクをベースにしたもの。さらに上記と関連してへばりつかない成分を混合するなど、「THE ZEBRA」専用のチューンが施されており、そこにも長い時間がかけられている。発色についてもこだわり、カラーは深いブルーブラックに近い「黒墨色」。中田氏いわく、「ベースは研究してきたものを使っているが、結局は条件を満たすために『HAMON』用に新規開発することになった」という。
なお、この中芯は今後も展開を予定している「THE ZEBRA」シリーズ共通で採用される。「THE ZEBRA」シリーズには長く使えるよう10年間の保証が付帯するが、ゼブラの「プレミアム保証システム」に登録することで、今後新たな替芯が発売された際、無償で1本が提供されるサービスも展開される。現状では新しいバリエーションをコンスタントに発売することは考えておらず、「数年に1回ペース」となる見込みだという。
ゼブラの集大成でありフラッグシップ。「THE ZEBRA」の先駆け「HAMON」
インタビューの締めくくりに、中田氏は「ゼブラの集大成、フラッグシップとして技術にこだわり、実用性に振り切った商品ですので、是非手に取って書いてみてほしいです」とコメント。筆者も実際にお話を伺いながら手に取ってみたが、その書き味はペン先がヌルヌル滑るような非常に気持ちの良いものだったし、ツイストしてペン先を出し入れする動きもあまりに手触りがよく、つい意味もなく繰り返してしまっていたほどだ。
「HAMON」は例えばその内部機構、ボディのクリア部分、中芯の構造など、話を聞けば聞くほどこだわりのポイントが次々出てくるという次第で、5万円を超える価格は絶対値で見れば非常に高価だが、それは持てる技術を全て投入した結果であるということが強く感じられた。
「HAMON」は3月4日より、一部の文具店で取り扱いが開始される。ゼブラ渾身のフラッグシップモデルを、是非一度手にとって見てほしい。



























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