特別企画

連載開始40周年記念!「シティーハンター大原画展」が開催。多数の原画に加え、あの伝言板や喫茶キャッツアイなども再現

会期:2025年11月22日~12月28日
会場:上野の森美術館
開場時間:10時~17時(最終入場16時半)
入場料:11月22日~23日時指定券:3,500円
当日券:一般2,900円/小・中学生1,100円
前売券:一般2,500円/小・中学生800円
特典グッズ付きチケット(1):10,000円
特典グッズ付きチケット(2):13,000円

 1985年から1991年まで「週刊少年ジャンプ」にて連載され、世界累計発行部数が5,000万部を越える人気アクションコメディ漫画「シティーハンター」。超一流の腕前を持つが、美女に目がない始末屋(スイーパー)の冴羽獠と、彼を公私にわたり支える槇村香のコンビが、軽妙なユーモアと迫力あるアクションでさまざまな依頼を解決していくストーリーだ。

 その「シティーハンター」が連載を開始してから今年で40周年となることを記念して、獠と香の運命的な出会いから最高のパートナーになるまでの絆の物語を、400点を越える貴重な直筆原画と共に追体験することができる「シティーハンター大原画展」が開催される。

 会場では、直筆カラーイラストからモノクロ原画、連載当時の原稿やイラストの下描きなどを一挙公開。さらに、作中でお馴染みの伝言板や、等身大の冴羽獠が座っている喫茶キャッツアイを再現したフォトスポットなども用意されている。これらにより、「シティーハンター」の世界観に没入することができるのだ。

 今回、原画展に先駆けてプレス向け内覧会が開催されたので、その模様を一足先にお伝えしよう。

300話以上にも及ぶマンガ「シティーハンター」の歴史を、時系列で追いかけられる展示会

 会場はエントランスエリアから始まり、第1章・運命の出会い/第2章・合言葉はXYZ!/第3章・心近づくふたり/第4章・俺たちがシティーハンター/第5章・FOREVER, CITY HUNTER!!/EPILOGUE・シティーハンターから愛を込めて、という全7章での構成。冴羽獠と槇村香の運命的な出会いから、個性豊かな仲間たちや依頼人と築き上げた信頼、そして獠と香がかけがえのないパートナーとして互いを認め合うまでの軌跡を、時間軸に沿って追体験していくことができる。

 入場時には、冴羽獠役の神谷明氏、槇村香役の伊倉一恵さん、海坊主役の玄田哲章氏がスペシャルナビゲータとしてナレーションをしてくれる、音声ガイドをレンタルすることも可能だ。

入口では「シティーハンター」のコミカルな部分を物語る100tハンマーが飾られており、ハンマーと一緒に写真を撮れる
新宿の町並みを模したエントランスエリアには、奥に“あの”伝言板が置かれているのが見える。雰囲気が一気に盛り上がっていく瞬間だ

 「第1章・運命の出会い」エリアでは、獠と香の出会いや、獠が海坊主、冴子といった主要キャラと出会い、絡んでいく時代を、当時の連載原稿やカラー原画などを通して見ることができる。

獠の最初のパートナーであった槇村の死に関しての展示では、マンガのシーンが飾られているだけでなく、雨音も流れているなどその場面をリアルに感じることができる
連載原稿は、写植を貼った状態のままで展示されているので非常に迫力があった。この生々しさを、ぜひ会場で感じて欲しい
主要キャラクターたちと、彼らに関連する原稿なども展示されている
冴羽アパート地下射撃場を模したフォトスポットが置かれてあり、二人の隣に立って撮影することが可能だ

 「第2章・合言葉はXYZ!」エリアでは、獠と香の初々しいやりとりを始めとした初期エピソードを原画で振り返ることができる。射撃場のフォトスポットに続いて、ここには喫茶キャッツアイが展示されているので、見逃さないようにしたい。

多数登場する依頼人と、彼女たちに関するエピソードが、展示されている当時の連載原稿によって蘇る。前エリアで展示されていた連載開始直後の絵と比べて、タッチが少し変化してきているのが見て取れるのも、こういった展示会での魅力
喫茶キャッツアイ付近では、壁もレンガ風に彩られている。近づいてみると分かるのだが、実際の獠と海坊主の大きさに驚かされることだろう。カウンターの反対側には、「シティーハンター」が表紙を飾った「週刊少年ジャンプ」を展示したテーブルと、それに合わせて喫茶店風の椅子が置かれている
折り目がついた直筆カラーイラストなども展示されている。折り目やしわがある状態で飾られていることが、逆にリアル感を醸し出している
スケッチブックに描かれた下描きと、実際に原稿として完成した状態のページを見比べることができる展示も

 これまでとは雰囲気が一変して始まる「第3章・心近づくふたり」エリアでは、獠と香のバックボーンが掘り下げられた中期エピソードを中心とした展示内容となっている。エリアに入ってすぐの場所では霧笛が流れ、「シティーハンター」の中でも上位に名を連ねるエピソードである「都会のシンデレラ!!」にスポットライトを当てた形での演出がされているので、ファンならばグッとくるものがあるだろう。

 2階に移動すると、クライマックスシーンの1つである海坊主との墓地での対決にフォーカスした展示を見ることができる。ここでも、原作者である北条司先生が獠に血を流させた理由をコメントしていたりと、舞台裏を垣間見ることができるのが面白い。

霧笛が流れる中、マンガのコマが描かれた飾りを見ていると、まるで自分が物語に入ったかのような錯覚を受ける。高い人気を誇るエピソードだけに、展示されている連載原稿も数多い
2階に上がると、墓地での対決シーンを背景にした原画展示エリアが来場者を迎える。静止画にもかかわらず、今にも銃声が聞こえてきそうな雰囲気に思わず飲まれてしまったほど
獠が愛用するコルトパイソン357マグナム、香のコルト・ローマンMK-IIIも見ることができる

 「第4章・俺たちがシティーハンター」と題したエリアは、獠の過去や物語のクライマックスとなる終盤エピソードを中心とした展示となっている。ここには名シーン“ガラス越しのキス”が展示されているので、近くでジックリと鑑賞しておきたい。

天井付近には、このようなユニークな展示も
写植時代には難しかった、漢字の下半分を削ることでセリフの半分だけを表現するというテクニックについては、北条司先生のコメント入りで当時の思いが語られている。これも、展示会での醍醐味の一つ
ガラス越しのキスシーンが見られる場所は、周囲が燃えさかる炎をイメージした赤で演出されている。その一番奥まった場所に設置されているので、まるで自分が崩れ落ちていくビルの中に居るような錯覚を一瞬受けてしまう
獠が風邪を引いてしまい熱で目がかすむものの、香に目となってもらいテロリストを撃退するエピソードに合わせて、香の部分に来場者が収まることで同シーンを再現できるフォトスポットも用意されている
このエリアには、美しいカラー原画も数多く展示されている。使われている道具や紙についてのコメントを読むと、その調達に苦労している様子が伝わってくる

 「第5章・FOREVER, CITY HUNTER!!」と題したエリアには、最終エピソードに関連する原画の展示が行われている。エリア最後にはスペシャルシアタースペースも用意されており、そこでは静止画に簡易な動きを与えた、モーションコミックと呼ばれる動画を鑑賞することができる。TM NETWORKの名曲にして「シティーハンター」には欠かせない「GET WILD」をBGMに見ることができるので、それだけで気分も盛り上がるというもの。

海坊主と美樹の結婚式、そして最終話の原画を背景に、連載原稿やイラストが展示されている。時系列で追ってきた彼らの物語も、いよいよ終わりとなる

 最後のエリアは「EPILOGUE・シティーハンターから愛を込めて」。本展示会のために北条司先生が描き下ろしたカラーイラストが展示されているほか、1枚のイラストが描き上がるまでの動画を見ることができたり、さらには1万字インタビューと題した北条司先生へのインタビューも読むことができる。

この展示会のために描き下ろされたカラーイラストが展示されている。スペシャルシアターを出てすぐの場所なので、見落とさないように
ここでは他のエリアでは見られない、横長サイズの下描きとカラー原画なども目にすることができる
漫画家やアーティストからの、御祝サイン色紙も展示中。その隣には、クラウドファンディングに協力してくれた人への返礼伝言板も置かれている
物販ブースは、2カ所に分かれて設置されている。図録といった定番のものから複製原画のようなあまり他では目にしないようなアイテムも販売されているので、買い漏らしのないようにしたい

40年分のボリュームはさすがの一言!バラエティに富んだ展示内容は何度も足を運びたくなる

 300話以上に及ぶ6年分の週刊連載原稿などを厳選して展示してあるとはいえ、その数は400点以上。ボリューム的には非常に多いのだが、展示会場が上野の森美術館ということでスペースが広く、余裕を持って見て回れるのはありがたかった。

 展示物も、モノクロの連載原稿だけでなくカラー原画なども豊富にあって、とても華やかさを感じられた。それらもオリジナル原稿なので、その当時の息吹を感じ取ることができるのも嬉しい。フォトスポットも充実しており、さらには人気エピソードに注力した派手な演出や、効果音を交えた展示方法など見せ方にも工夫が凝らされており、一度や二度足を運んだだけでは飽きないのはナイスなポイントだろう。当時の裏側を知ることができる作者のコメントが付いた展示物があるのも、興味をそそられて良かった。

 2024年には実写映画が公開されたり、2025年には2月26日が「シティーハンターの日」と登録されるなど、まだまだその勢いは衰えを見せない。ファンならずとも、この貴重な機会に見てくることを勧めたい。