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展覧会「逆境回顧録 大カイジ展」オープニングレポート
「焼き土下座」、「沼」……。作者・福本伸行氏とファンの粗品さんが熱く語る
2024年3月15日 16:21
- 【逆境回顧録 大カイジ展】
- 開催期間:3月16日~5月12日
- 会場:東京ドームシティ Gallery AaMo
- 入場料:
- 一般1,900円
- 中・高校生1,700円
- ※小学生以下無料
東京ドームシティにあるGallery AaMoでは、3月16日から5月12日まで、マンガ「カイジ」シリーズで描かれる数々の“逆境”を振り返る展覧会「逆境回顧録 大カイジ展」を開催する。入場料は一般1,900円、中・高校生1,700円。イベントに先駆け、オープニングセレモニーと、内覧会が行われた。
「カイジ」は福本氏が1996年に週刊ヤングマガジンで連載開始、「賭博黙示録カイジ」、「賭博堕天録カイジ」などタイトルを変えながらシリーズを展開、アニメ化、映画化、さらにはスピンオフ漫画なども制作され、ギャンブル漫画として多くのファンを獲得している。自堕落だが逆境に遭うことで驚くべき生命力と天才的なひらめきを発揮するカイジが、極限状態に置かれるギャンブルに挑む。
「逆境回顧録 大カイジ展」は「カイジ」シリーズで描かれる数々の“逆境”を、初公開を含む原画や名シーン展示で振り返るほか、「鉄骨渡り」や「焼き土下座」など有名シーンをフォトスポットとして表現、また、クラウドファンディングにより帝愛裏カジノのパチンコ一発台「沼」の実物大フォトスポットを展示するなどファンにはたまらないイベントとなっている。
明日のオープンに先駆けて実施されたオープニングセレモニーでは「カイジ」の作者である福本伸行氏に加え、人気お笑いコンビ・霜降り明星の粗品さんが登壇。粗品さんは福本作品の熱心なファンであり、熱意あふれるトークで、イベントの面白さにとどまらず、福本作品の素晴らしさを熱弁した。本稿ではこのオープニングセレモニーを取り上げたい。なお、展覧会のレポートは別稿でお届けするので、お楽しみに。
「カイジ」の愛があふれるオープニングセレモニー、こだわりに満ちた「カイジ展」
福本氏とともに登壇した粗品さんは、開口一番「福本先生は日本一おもろい人です」と紹介。「カイジ」のイベントにもかかわらず、「『アカギ』も『クロサワ』も大好きです」とまず福本氏の他作品のトークを繰り広げた。福本作品との出会いや、印象的なシーンなど、粗品さんはここぞとばかりに、福本作品への愛を作者に向けて語った。
その中でやはり「カイジ」はやはり特別だ。福本氏は「『カイジ』は青年誌の連載作品ですが、根っこは少年漫画なんです。『巨悪に挑む』というのがテーマです。主人公のカイジって、いいやつじゃないですか。勝つために策略を巡らすけど、根っこはいいやつ。だから読者も応援してくれるんだと思います」と自作を分析した。
粗品さんは「この機会だからどうしても聞きたい、漫画に出てくるいろいろなゲームはどうやって思いつくんですか?」という質問に福本氏は「『限定じゃんけん』はじゃんけんにゲーム要素を盛り込んだ。カードにして限られた状況に置く、場所は船の中で、逃げられない。最低限のルールしか言われず、実は抜け道や攻略法がたくさんある。だから勝ち方や必勝法をどう紹介していくか、という展開にしました。カイジはカードも、星もなくして絶望的な状況になる。ここからどう逆転していくか、そういう物語になりました」と、『カイジ』の最初のエピソードの作り手側からの視点を語った。
粗品さんは福本ファンとして「カイジの最新エピソード『賭博堕天録カイジ 24億脱出編』の連載が現在休止している」とチクリ。福本氏は「今は『二階堂』というマンガを進めていて、もう少し待ってください」と答えた。それでも粗品さんは「カイジはどうなるんですか」と食い下がると、福本氏は答えそうになり、「……言っちゃダメですよね」とネタバレを避けた。
話題は今回のイベント「逆境回顧録 大カイジ展」に。粗品さんは最初にセレモニー会場にもなったパチンコ一発台「沼」について、原作に忠実に再現されていることを紹介。マンガではこの「沼」は非常に難易度が高い仕掛けが満載なのだが、最大の仕掛けが「部屋そのものがわずかに傾き、玉の軌道を操作する」というもの。
福本氏は「さすがに会場は傾かない」とマンガファンならではのネタも含めて展示の「沼」を紹介した。会場では実際入場者がこのパチンコ台を前に椅子に座ることができる。粗品さんは沼を前に普通のパチンコ台のようにリラックスして座れず、マンガ同様思わずのぞき込んでしまうところも指摘した。
「逆境回顧録 大カイジ展」ではまず劇中に登場する特別な通貨「ペリカ」を与えられ、いきなりサイコロ賭博「チンチロ」ですべて失ってしまう可能性があること、劇中同様煙が出る「焼き土下座」、「一本橋」など、原作に登場する様々な要素が会場で再現されていることを紹介した。
福本氏は今回のイベントを記念し粗品さんに色紙をプレゼントチンチロリンで粗品さんがカイジに勝ってガッツポーズをしている絵柄に興奮していた。「Tボーンステーキで削ったいかさまサイコロじゃなくて、ちゃんとしたサイコロで勝ってる!」と、コメントも原作ファンらしい濃いものだった。
福本氏は最後に「僕も前情報なしに会場に来て、カイジの多くのゲームが室内で、鉄骨を渡る一本橋は夜で行われる。暗いところで展開する話が多く、会場で改めて『カイジの世界観は、クライ中で熱い勝負をする』という世界観を実感しました。原画と展示を合わせることでできる独特の楽しみ方ができると思います。とても面白いイベントだと思います」とこれから来る来場者に言葉をかけた。
粗品さんは「今回は福本先生にお会いできて色紙ももらって本当にありがとうございます。カイジ展、おもろすぎます。原画の展示だけでも大インパクトですが、沼や一本橋、焼き土下座などフォトスポットも盛りだくさんです。他の展示会とひと味違う満足度だし、『カイジ』を知らない人も楽しめます。最高です」とファンに向かって語った。
「逆境回顧録 大カイジ展」は福本氏ならではの迫力の原画のパワーがすごい。そして各エピソードを抽出したフォトスポットなどの盛りだくさんで、原作ファンにはたまらないイベントだ。もちろん原作を知らない人も作品に興味をかき立てられるだろう。
このアトラクションの体験レポートは別稿でも取り上げたい。ファンならずとも是非会場を訪れて欲しい。