特別企画

【今日の読み切り】「病めるとき」

倦怠期の中年主婦がエルフの森にやってきたら意外とすごかった

【病めるとき】

著者:犬嶋乃介

講談社

 どこにでもいそうな中年主婦、平沢和子。前髪がすっかり後退してしまった夫との仲は冷めきっており、無為な日常が続いていた。だが、ある日夫は肩の凝りすぎで石化してしまう。まだ家のローンが残っている和子は、夫を助けるためにエルフの森へと向かう。

 「病めるとき」は犬嶋乃介氏による短編漫画。始まりは、どこにでもありそうな中高年の日常なのに、強引なファンタジー要素が入り込み、そのまま淡々と物語が進んでいく。読んでいるこっちとしても突込みどころの多さに頭が付いていかないが、そういう世界なんだと自分を納得させて読み進めていくと、中盤以降どんどん熱い展開に胸が躍っていく。

 何よりも主婦力は、意外とファンタジー世界でイケているスキルなのだと気づくことができた。愛の冷めた夫との淡々とした日常を送っているただの主婦、平沢和子の大活躍をぜひ読んでみて欲しい。

コミックDAYS「病めるとき」のページ

【あらすじ】

 夫との仲が冷めきった結婚数十年目の主婦・平沢和子。ある日、ひどい肩こりから石化してしまった夫を助けるために、エルフの森へと足を踏み入れる。しかし、石化を解く手段はモンスター数多く出現する「聖なる泉」へと行かねばならないことを告げられる。