特別企画

【今日の読み切り】「ドロップアウト」

高校生のコータローが出会ったのは来年“死にたい”という「寧々」

【ドロップアウト】

著者:鹿原史生

集英社

 ある日、毎日を無気力に過ごす高校生の「コタロー」の前に、バイトを紹介したいという会社員の女「寧々」が現われる。彼女は来年には死にたいという。バイトの内容は「彼女が死ぬまでの映像を撮ること」。

 何も代わり映えしない毎日をただ、ゆる~く過ごしていた「コタロー」。熱狂するほど好きなものやバイトをしてまでやりたいこともない。人生に別に不満はないけど、いつ終わってもいいって思っている。そんな彼が「寧々」と出会って、だんだん彼女のことが気になっていく。

 本作「ドロップアウト」は、鹿原史生氏による短編作品で「少年ジャンプ+」にて2021年2月に配信されている。

 目標や希望が見えず、だからといって毎日に不満があるわけじゃない。「死にたい」とかは思わないけど、なんとなく日々を過ごしている。そんな人も多いかもしれない。気になる人がいても、所詮他人だからと深い関わりを避けることもあるかもしれない。

 「コタロー」は、自分に似たような「寧々」と出会うことで、彼女のことを心配している自分に気付く。バイトはどうなってゆくのか。そして彼女は本当に死んでしまうのか。読み終わった後、明日からも頑張ろうと思えるようなラストシーンまで、読んで確かめてほしい。

【あらすじ】

「私が死ぬまでの映像を撮ってくれない?」毎日を無気力に過ごす高校生・コタローの前に現われたのは、バケットリストを消化する会社員・寧々。来年には死にたいという寧々を撮るうちに、コタローの心に変化が芽生え……!?