特別企画

ダンダダンでダンダダン!マンガ「ダンダダン」に登場した「肉汁餃子のダンダダン」に聖地巡礼してきた

作中第176話で描かれた外観は、実際の「肉汁餃子のダンダダン」川越店そのままだ

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 集英社が運営するウェブコミックサービス「少年ジャンプ+」で連載中の、龍幸伸氏によるマンガ「ダンダダン」作中に飲食チェーン「肉汁餃子のダンダダン」が登場した。登場したのは第176話から第179話にかけて、モモの育ての親である強力な霊媒師・綾瀬星子が、とある2人組に頼みごとをするための会合の場として描かれた。

「ダンダダン」の連載がスタートしたのは2021年の4月、かたや「肉汁餃子のダンダダン」は2011年1月、調布の天神通りに1号店がオープンしたのが始まりだ。“ダンダダン”というキャッチーかつ印象的なワードを同じくすることから、一部界隈ではその偶然の一致を面白がる意見や、逆に「両者の間には何かしらの関連性があるのでは?」という噂も囁かれてきた。そんな「肉汁餃子のダンダダン」がついに「ダンダダン」で描かれたという記念すべき出来事にあわせ、このたび「肉汁餃子のダンダダン」川越店に行ってきたので、その体験レポートをお届けしたい。

ちなみに「肉汁餃子のダンダダン」の店名の由来は、公式サイトや店内に掲出されているポスターでも確認することができる

星子たちが激しい戦いを繰り広げた店内、その後の様子を表現した内装はまるでテーマパーク

 「ダンダダン」作中に登場した「肉汁餃子のダンダダン」は、作者の龍幸伸氏の出身地・埼玉県にある川越店がモデルになっている。そもそも「ダンダダン」では神越市と正能市という地名が登場するのだが、ファンの間ではそれが川越市と飯能市をモジッたものではないかという考察もあった。第176話が掲載された2024年12月10日、その5日前となる12月5日には、「肉汁餃子のダンダダン」公式Xにて龍幸伸氏が川越店に来店&直筆のサイン色紙が寄贈された旨も発信され、前述の考察も信憑性を増した形だ。

 作中では、直前のエピソードで登場した呪いのボードゲーム「呪行李」を、星子が呪物コレクター・パヤセに預けたり、またその中に入ったことで小人化してしまったモモを元に戻すため、カシモトなる人物に話を聞く場として「肉汁餃子のダンダダン」が登場。昼食を摂りながら話をしていたものの、謎のキョンシー軍団から襲撃を受ける星子たち。その際に牛の頭を持つ強力な魔人も現われ、店内は激しい戦いの場となってしまった。

店内では特に激しい戦いが繰り広げられた第176話~第177話の様子が紹介されている

 そんな経緯もあって、「肉汁餃子のダンダダン」川越店は創作の舞台となった地へファンが実際に赴く活動──いわゆる“聖地巡礼”的なスポットと化している。

 川越店は外観や星子たちが食事をしていた2階の間取りがそのままなのは言うまでもなく、店内では作中で描かれたエピソードの残滓を感じられる内装が施されていた。階段には星子たちを襲った、牛の頭を持つ魔人の蹄鉄型の足跡があり、2階の壁や床にはその魔人との戦いによって生まれためり込み跡もペイント。柱の要所要所には星子が使うお札が貼られていたり、星子が投げて武器にしていた空調機材が修理されていたりと、本格的なコラボカフェも顔負けなテーマパーク的演出で彩られていた。

牛頭の魔人の足跡は店の外から始まり、1階のフロアをまたいで一気に階段へ。そのなかには、一箇所だけ星子のハイヒール跡も混ざっている
出入り口に掲出されているポスター右上には、作者の龍幸伸氏に向けたメッセージ「龍ラブ。」の文字が
お店の入口を入ってすぐのところに、龍幸伸氏から寄贈された直筆サイン色紙と、作中にも登場したやかんが飾られている。やかんには蹄鉄の跡も……!
星子たちが座っていた2階の中央部、その壁と床には、牛頭の魔人との戦いによってできためり込みがペイントされている。そのほか、星子のお札や「もう武器にしないでください(泣)」と陳情が綴られた空調機器、修理された様子の柱など芸が細かい内装となっている。当たり前だが、メニューが記載された木札も作中に登場したそのままだ

リニューアルした看板メニュー「究極の餃子定食」を実食!

 「ダンダダン」ファンにとっては、こんな空間で味わう餃子(とビール)はたまらない。「肉汁餃子のダンダダン」では、その店名にも掲げている自慢の肉汁餃子を主役に据えた「究極の餃子定食」を販売しており、星子たちが食べていたのもこのメニューだ。

 「究極の餃子定食」は、その内容を2024年4月1日にリニューアルしたばかりで、餃子のほかには特製の旨味練りタラコや紫蘇風味の春雨サラダ、浅漬けとしば漬けの2種が添えられている山くらげ、国産温泉玉子に鶏出汁ワンタンスープなど、どれも白米のオトモとして一線級のおかずがセットになっている。餃子の数を倍にした「W究極の餃子定食」も注文できるほか、ごはんのおかわり自由(ランチ限定)なので腹を空かせた食いしん坊も安心の定食だ。

龍幸伸氏も「ごはんおかわり自由!!最高!!」と言っている

 研究に研究を重ね、完成に1年以上をかけたという餃子は、小麦の表皮・胚芽・胚乳をすべて粉にした全粒粉(7%)を使用した皮を独自に開発。小麦の風味豊かな香りと栄養価が最大限得られるよう工夫されており、餡の旨味をしっかりと閉じ込めるという。

 以上は「肉汁餃子のダンダダン」公式サイトなどで確認できる情報だが、ここからは実食へと移っていく。餃子が大好きで「クラフト餃子フェス」へ足を運ぶこともあるなど、筆者も様々な餃子を食べてきたクチだが、ダンダダンの餃子の皮はこれまで味わってきた数多の餃子のなかでも、モチモチ感と弾力がかなり強めだ。溢れ出る肉汁をウリにしている餃子は数あれど、いざ箸で持ち上げた際に皮が破れてしまい、残念な思いをした経験も何度かある。この皮なら、口の中へ放り込むまで破れてしまう心配もなさそうだ。

星子たちが食べていた「究極の餃子定食」(1,000円)。餃子は6個で提供されるが、作中では5個になっていた。龍幸伸氏、我慢できずに1個食べてしまったのだろうか……?

 率直な感想としては、肝心の肉汁がかなりさらりとしている点が強く記憶に残った。肉の脂から生まれる旨味というよりも、出汁由来の旨味で味がまとめられている印象だ。個人的には肉汁というよりスープに近い感覚で、皮のモチモチさと相まって焼餃子と水餃子の間の子のような、1個で2度美味しい餃子に仕上がっていると感じた。

 ダンダダンの餃子は焼き立てアツアツはもちろん、冷めても美味しいと謳われており、「餃子なのに冷めても美味いは流石に言いすぎなのでは……」と正直懐疑的なところがあったが、肉汁がさらりとしているので冷めても凝固せず、偽りなく美味しくいただくことができた。また餃子が汁気たっぷりなので、固めに炊き上げられた白米がこの上なく合う! 実は餃子は白米とあわせず、それ単体を主食として食べたい派なのだが、これは白米必須の餃子だ。

記事に使用する写真を撮る関係上、少し冷めてしまった状態で餃子をいただくことになってしまったが、本当に冷めても美味しい餃子だった。皮を箸で割ると、肉汁が間欠泉のように吹き上がった

 「肉汁餃子のダンダダン」では餃子のほかにも、希少部位も取り扱う馬刺しをはじめ、お酒が進む絶品の肴や、餃子の皮を活用したおつまみ&デザードなど個性的でバラエティ豊かな品を楽しむことができる。ぜひみなさんもダンダダンゆかりのダンダダンで食事を楽しんでみてほしい。

この日はタラコを混ぜ込んだ「たらもサラダ」(647円)や、日替わりの馬刺し2種盛り(1,307円)もオーダー。澄んだ黄金色がまぶしいプレモルと合う合う。デザートとして数量限定の「ダンプリン」(438円)や、バニラアイスに塩気のあるごま油がかけられた「餃子アイス」(438円)もいただいた。特にダンプリンはSNSで人気の専門店にも劣らない逸品だ