先行体験

迫力の「HELLSING」&「ドリフターズ」原画全開放!「平野耕太☆大博覧會」レポート

造形物やアニメの力も借りて、”ヒラコー”ワールドどっぷり堪能

開催期間:3月27日~4月13日
会場:池袋・サンシャインシティ 展示ホールA
入場券:
2,100円(前売券)
2,300円(当日券)
音声ガイド:800円
「平野耕太☆大博覧會」

【拡大画像へ】

 3月27日より4月13日にかけて池袋・サンシャインシティにて開催予定の「平野耕太☆大博覧會」。本展覧会では漫画家・平野耕太氏の代表作「HELLSING」と「ドリフターズ」をテーマに、各作品の原画や名シーンをモチーフにした造形物、アニメ映像の上映などを交えた展示が行なわれる。

 ”ヒラコー”こと平野耕太氏の作品の特徴はなんといっても黒ベタを多用した迫力ある筆致と、外連味たっぷりでどこをどう切り出しても格好良い台詞回しの数々だろう。作中のコマ全てが決めゴマかのような印象的な作風は原画展と極めて相性が良く、氏の原画を間近で眺める事ができるというのは考えられないほど贅沢だ。原画は1,500平方メートルを超える広大な会場にたっぷりと展示されており、見て回る際にはいくら時間があっても足りないほどに充実した体験を味わえる。

 開催に先駆けて開催されたメディア向けの内覧会ではそんな本展の凄みを体験することができたので、その模様をお伝えする。

会場近くのサンシャイン通りやニトリ横のエスカレーターには「平野耕太☆大博覧會」のバナーが掲出されている。キャラクターの組み合わせにも納得感があり、向かっている最中からテンションが上がる

作品世界をどっぷり堪能。”魔法陣”など狂気の描き込みを寄りて見よ

 展示会の構成としては、まず「HELLSING」第1話からはじまり最終話の内容まで、続いては「ドリフターズ」のはじまりから最新話まで、という順に原画や展示が行われるような形になっている。

 やはり特筆すべきは原画であり、氏の迫力ある作中ページが各作品それぞれ掲示されている。もちろん全てでは無いのだが、展示数は十二分にストーリーを追えてしまうほどの量があり、ストーリー的な山場を見るにしても推しのキャラクターごとに見ていくにしても、その満足度は極めて高い。

 連載の時系列としては「HELLISING」が1997年から2008年と足掛け約10年、「ドリフターズ」はその翌年2009年から2025年現在に到るまで連載が続いており、「HELLSING」の初期から「ドリフターズ」の最新話までを通して見ると途中で画風がかなり変わっていることにも気づく。それでいて昔から変わらない、さながら一枚絵のような各ページのクオリティの高さには驚かされるばかりだ。

 また、特に「HELLSING」においては細かな英字や魔法陣が多用されているが、それらも全て手描きであり、その筆致もつぶさに確認することができる。黒ベタで塗られた箇所も多く白と黒のコントラストも特徴的だが、手描きゆえの黒の色ムラなどにも印刷されたものでは感じられない味わいがある。セリフについても写植された文字の下に手描きのネーム段階のものがチラりと見えることもあり、さらにそれが完成稿とは異なっているものもある。見れば見るだけ新しい発見と感動があり、ファンとしてはいい意味で一歩進むのも困難なほどだ。この点、特に「ドリフターズ」の展示においては完成版の原稿が原画の横に掲示されている箇所もあり、見比べる楽しさがより強く味わえる構成になっていた。

【HELLSING】
”全てが決めゴマ”と感じさせるような迫力の原画の数々。アーカードの手袋に描かれた魔法陣やゾーリン・ブリッツ中尉の結界など、これらが手描きであることに戦慄する。さらっと外伝「THE DAWN」の原画も盛り込まれていて思わず二度見してしまった
【ドリフターズ】
特に「ドリフターズ」の展示では原画の横に完成版の原稿が掲示されており、イラストやセリフを見比べる楽しみがある
読めないはずが何故か読めるオルテ語
「ドリフターズ」はさらにカッコよさに磨きがかかっているように思う。原画に近づけば近づくほどディテールが見えてきて、思わず吸い込まれそうになる錯覚を覚える。「HELLSING」もそうだが写真を撮る手が止まらない
そしてまさかのカバー裏&あとがきマンガコーナー。本作譲りではあるがやはり展示会でもテンションの落差がすごい

アーカードvsアンデルセンなど立体展示も熱い!

 造形物についても「HELLSING」ではセラスの衣装やハルコンネン、アンデルセンの結界、アーカードとアンデルセンの戦い、「ドリフターズ」においてはドリフターズ陣営が転送時に通る紫のデスク、廃城、島津の退き口……などなど、作中で印象的なシーンが様々な形で再現されている。さらに会場にはOVAなどを上映するモニターが多数設置されており、原画にとどまらず作中の世界観を全身で堪能できる構成になっている。

「HELLSING」年表。アーカードことヴラド3世の誕生から物語の終結までが作中のコマを用いてまとめられている
「HELLSING」の造形物。原画からスっと視線を移すとそれ縁の造形物が置いてあるほか、OVAの該当シーンも流れていたりして世界観をどっぷり楽しめる
「ドリフターズ」の造形物。豊久の甲冑や作品のコマを立体的に表現したものが目を惹くが、オルテ建国の父ことチョビヒゲ氏の肖像画のインパクトも凄い

 さて、原画展を抜けるとそこは広々とした物販コーナー。商品ラインナップは公式ページやXにて公開されているが、作中の表紙や扉ページ、本編を用いたイラストベースのものから、キャラクターやセリフを組み合わせたもの、思わず「そう来たか!」と思うような変わり種のアイテムなどが各種取り揃えられている。

 中でも「複製原稿」シリーズの商品は展示されている原画そのまま、つまり絵も写植も修正のホワイトもトーンもそのまま商品化されており、平野氏の原稿を複製とは言え生のママで持ち帰れるという代物。原画展のあとには物欲が抑えられないアイテムだ。また、「バイヨネットさっくり!アクリルスタンド」などはアンデルセンのバイヨネットをアーカードに好きなように突き刺せるという作品譲りの狂気を感じさせるアイテムとなっているほか、あとがきや表紙裏のテンションをそのまま持ってきたようなグッズも満載。あれもこれもと欲しくなってしまうグッズが揃っている。

シリアスからコミカルまで、愛を感じるグッズがズラリ
素晴らしすぎる複製原画。我慢できず「諸君、私は戦争は好きだ」に並ぶ少佐の名シーンと、ハルコンネンIIを装備したセラス・ヴィクトリアのものを個人的に購入

世界観の奔流に浸かれる「平野耕太☆大博覧會」!

 本展示会は原画の暴力のような迫力と世界観をさらに補強する立体物、そしてアニメにおける声優陣の名演を楽しめる贅沢な構成となっており、「HELLSING」「ドリフターズ」両作品のファンにはたまらないものとなっている。グッズについても作品を深く理解したうえでたっぷりと愛情が注がれたラインナップとなっており、全体を通して幸福度と満足度が極めて高い。

 そんな本展示会はいよいよ本日より開催。ぜひ会場を訪れ、一歩進むのが惜しく思えるような贅沢な空間を堪能してもらいたい。