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連続ドラマ「ゴールデンカムイ」放送目前! 実写版ならではの魅力と期待のキャスティングを予習

映画版の内容を踏まえた注目ポイントは?

【連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―】

10月6日 放送開始(毎週日曜22時~)

放送局:WOWOW

 実写ドラマ「連続ドラマW ゴールデンカムイ ー北海道刺青囚人争奪編ー」(以下、「北海道刺青囚人争奪編」)が10月6日22時よりWOWOWで独占放送・配信される。これは1月に上映された映画「ゴールデンカムイ」の続編となるドラマシリーズで、連続ドラマシリーズとして全9話構成で放送される。

【「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」本予告映像【WOWOW】】

 今回の記事では、連続ドラマの放送開始に合わせてストーリーの振り返りや、原作マンガではどのあたりまでのストーリーが描かれるのかといった点。また、映画で話題になったキャスティングに関しても、注目のポイントを紹介したいと思う。

1月に公開された実写映画「ゴールデンカムイ」の魅力とドラマ版への期待点

 マンガ「ゴールデンカムイ」は、2014年8月より集英社のマンガ雑誌「週刊ヤングジャンプ」で連載され、2022年4月に堂々完結した人気マンガ。日露戦争直後、明治時代の北海道を舞台に、アイヌの残した金塊を巡って複数の勢力が争う模様が描かれる。アイヌ文化など民族文化の紹介やアイヌ、マタギなど伝統的な狩猟、食文化、動植物などの自然や文化を紹介する側面も持ち、多方面からの支持を得ている。

 アイヌの埋蔵金といった宝探し的なロマンのほか、刺青人皮(いれずみにんぴ)を集めて宝探しの地図とするなど冒険要素もあり、手に汗握る冒険活劇となっている一方、緻密かつ時としてコミカルに描かれるアイヌ文化の描写にも興味、共感が寄せられ、「アイヌの文化、風習がリアルに描かれている」と高い評価を得ているのも特徴だ。

 1月に公開された映画はコミックスの3・4巻くらいまでのエピソードを描いており、今回のドラマ「北海道刺青囚人争奪編」では、おそらく樺太に渡る14巻くらいまで、もしくは網走監獄襲撃事件を映画にするとしたらその直前までをドラマ化するのではないかと予想する。

コミックス14巻

 映画「ゴールデンカムイ」は、主人公の一人である杉元佐一(山崎賢人さん)が幼馴染の病気の治療のため、金塊を探すところから始まる。北海道で砂金堀をしている時にアイヌの埋蔵金のヒントとなる刺青人皮の存在を知る。出会ったアイヌの少女アシリパ (山田杏奈さん、正式な表記はリが小書き片仮名)と出会い、助けられながら金塊を探そうとしたところに、同じく金塊を狙う大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉(玉木宏さん)ら、新撰組鬼の副長で「蝦夷共和国」復活を目指す土方歳三(舘ひろしさん)らとの三つ巴の戦いが始まろうとうするところまでが描かれた。

 対立する3勢力の登場とそれぞれの人物の紹介というイントロダクション的な位置付けだったが、杉本やアシリパたち、鶴見中尉たち、土方らの3勢力の立ち位置やそれぞれが抱える譲れない背景事情などを短い上映時間の中で上手く描けていたと思う。

【映画『ゴールデンカムイ』予告1】
映画「ゴールデンカムイ」は1月19日に劇場公開された

 コミックス・アニメ版では、コミカルな場面をデフォルメした描写で描いていたが、実写ではそれらの部分をどのように描くのか興味深い部分もあった。白石や牛山のシーンは勢いがあったりポーズやアクションが面白いので実写の方が際立つ部分もあったが、アシリパさんの顔芸はマンガやアニメによる表現の妙を感じるなど、それぞれの面白さをあらためて堪能することもできた。フチやアシリパのアイヌ語の会話は、シーンに合わせて字幕を入れる箇所とそうでない箇所を巧みに使い分けていて、うまかったと思う。アイヌの食文化なども、イラストではなく実写で描かれるとまた違った印象を受ける。

 WOWOWではライトノベルが原作の「異世界居酒屋『のぶ』」(宝島社)といった作品の実写化を行なっている。WOWOWの企画では、限られた予算などの制約の中で「いい感じのリソース配分」をすることで、原作ファンも納得する実写化を実現しているように感じた。キャスティングの妙もそこにある気がしており、佇まいだったり、キャラの雰囲気が似ていることで「そのまんまじゃないか!」という印象が強い。

WOWOWオリジナルドラマとして実写化された「異世界居酒屋『のぶ』」(画像はAmazonのページより)

 そして今回のドラマで描かれるであろう「北海道刺青囚人争奪編」のエピソードは「ゴールデンカムイ」の中でも屈指の濃いエピソード群であること言える。実写化のクオリティを含め、今回の「北海道刺青囚人争奪編」においても映像化のクオリティに対し大きな期待を寄せている。

気になる刺青囚人のキャスティングは如何に?

 ドラマ化される「北海道刺青囚人争奪編」にて鍵を握る刺青囚人たちは、強盗や殺人など重罪を犯した罪で網走監獄に収監されていた囚人だ。同房だったのっぺらぼうによって刺青を入れられ、金塊の分け前を与えると言う条件で脱獄し小樽へ向かうよう指示されていた。映画でも序盤から登場し、白石や牛山、土方なども刺青囚人だ。

 ドラマとしては毎回何人かの刺青囚人が登場し、刺青人皮を巡る争いなどが描かれるのだろう。その中でも今回新たにキャストとして紹介されたのが、コミックスで描かれたまんまの江渡貝弥作役(えどがいやさく)の古川雄輝さんや、辺見和雄役(へんみかずお)の萩原聖人さんだ。江渡貝はぶっ飛んだ役柄なので、どこまで振り切って演じてくれるか興味深いし、辺見は穏やかそうに見える外観から滲み出てくる狂気をどう演じるのか、今から楽しみだ。

【筆者注目の3名】
江渡貝弥作役の古川雄輝さん
辺見和雄役の萩原聖人さん
仲沢達弥役の木村知貴さん。特に木村他の作品でも「いい感じのオッサン」的なハマり役も多い。仲沢達弥はオッサン風味がありながら風貌の異様さ、博徒としての肝の座り方、最後には「親分を愛する」一途さが滑稽に描かれる部分など多面性があるキャラクターだ。実写ではどのように描かれるのか目が離せない

 振り返ってみると、ゴールデンカムイには鶴見中尉をはじめ、強烈で狂気をはらんでいるキャラが多い。物語の中心となるキャラクターは、内に外に何かしらを抱えている。コミックスでは“何がその狂気となっているか”を掘り下げるシーンもあったので、ドラマでもそういった垣間見える狂気の表現が楽しみだ。

 一方、気になっているのは、強烈なキャラクターで刺青囚人でもある姉畑支遁(あねはた しとん)のキャストが発表されていないことだ。犬童四郎助(いぬどうしろすけ)役として北村一輝さんの抜擢が後から発表されたように徐々に明かされていくのか、それともあまりの変態さにドラマでは登場させられないのか、気になって仕方ない。

出演キャスト情報が続々と公開されている

 マンガの連載も終了し、コミックスも最終巻が発売されているので物語としては完結している。アニメも最終章の制作が決定と、完結に向けて走り出している。実写版もこの調子で完結を目指してドラマ、映画の制作が行なわれることを期待したい。

ドラマ「北海道刺青囚人争奪編」の放送に合わせて映画「ゴールデンカムイ」のBlu-ray・DVDも同日に発売となる。価格は初回限定版が8,789円、通常版が5,280円
【「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」特報映像【WOWOW】】