特別企画

【今日の読み切り】「『ん』から始まる名前の子」

森の中で出会った不思議な少年は恐ろしい神様だった――?

【「ん」から始まる名前の子】

著者:古河コビー

小学館

 いじめられていた少女が山の中で出会った不思議な少年。彼と仲良くなった日から、少しずつ少女の周辺が変わっていく。

 「『ん』から始まる名前の子」は古河コビー氏の短編漫画。少しだけ空気が読めない性格のせいで、クラスから浮いてしまい、友達を作ることもできず男子の集団からいじめられている女の子。そんな彼女が山の中で出会ったのは、一見小汚い少年に見えるが、おそらく人外の存在であろう何か。

 彼は、お菓子をくれた少女と仲良くなり、「いないことにされている」と悩みを語る少女に言う「じゃあさぁ! あいつらをおいないことにしちゃえば?」。少女の目からは、少し不思議でハッピーな物語、だが、全体を俯瞰すると静かに進んでいくその事態はまさにホラーだ。

 本作の怖いところは、そんなホラー要素に演出としてほとんど言及することなくストーリーが進んでいくことだろう。とてつもなく恐ろしいことが進行しているのに、誰もそれに気づかずほんわかとストーリーが進む怖さをたっぷり味わってほしい。

【あらすじ】

 田島リナは、空気を読むのが苦手で自己主張が強いタイプの女の子。そのせいでクラスの男子からいじめを受けている。妖怪を捕まえてこいと言われ、入りこんだ山の中の小さな祠の前で、リナは“んの”と名乗る不思議な少年に出会う。

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