特別企画
【今日の読み切り】「エンターテーラー」
読むとスーツをオーダーメイドしたくなる、イケメンテーラーとサラリーマンの人生を変える物語
2024年7月12日 00:00
- 【エンターテーラー】
- 著者:hiro者
- 集英社
行きつけのバーに通い、愚痴をこぼす主人公、青山直人。バーテンダーの翠仁一郎に左遷の話をしていると「あの店で仕立てるスーツは、“皮膚”の様に呼吸するらしい」と、奇妙な噂が流れる仕立て屋「エンターテーラー」を勧められる。それで今の人生を変えられるのならと、勧められるがままに怪しい店へと足を運ぶ。
「エンターテーラー」は、2022年7月から「となりのヤングジャンプ」にて配信されているhiro者氏の短編作品。仕立て屋の千装一織との採寸、カウンセリングにより、自分を変えるキッカケが描かれている。
全編スーツ姿のイケメン。それだけでも惹きこまれるものがあるが、もちろんストーリーにも注目したい。スーツを纏ったからといって、ヒーロー物のように劇的変化が起こり、常人離れした力を得て悪と戦うわけではない。しかし、スーツを纏うという奥深さ、自分自身と向き合うとは何かを考えさせられる物語がそこにはある。クセの強いオーナー、千装一織にも刮目。彼がまた、物語にスパイスを与えてくれている。
職場で不遇な目に遭い、左遷されたサラリーマンの青山は、行きつけのバーで勧められてスーツを仕立てることに。店に入ると、見覚えのあるデスクがあり、テーラーでオーナーの千装一織は、スーツを仕立てるクライアントの人生をシミュレーションするという。 そんな千装の手で仕立てられたスーツとは――。
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