特別企画

【今日の読み切り】「空飛ぶモグラ」

終末を迎える国の中で起きた、とある一家の脱出劇。そこには熱い想いが込められていた。

【空飛ぶモグラ】

著者:森屋シロ

集英社

 人類が酸性雨の影響で地下に住むことを余儀なくされてから約100年。大統領により、地下での暮らしが終わると告げられるところから物語は始まる。地下の国から隣国へ移り住むために必要な“移民査証”の封筒を持って、主人公は3年と2ヶ月ぶりに帰省する。

 「空飛ぶモグラ」は、2017年1月から「少年ジャンプ+」にて配信されている、森屋シロ氏の短編作品。ハラハラドキドキさせられるリアルな描写と、主人公と家族のやりとりに胸を熱くする物語になっている。

 主人公シエラは幼い頃、飛空船の操縦士だった父親とフライトに出かけ、その時に日の射す島「パシフィス」を見た。その島に行くことを夢見て、演説や船のメンテナンスを続けていた。シエラはそんな父とは折り合いが悪く、帰省しても喧嘩をしていた。

 隣国に入国できる最後の開門日には天井の穴が広がり、急激に水位が上昇していく。果たして、シエラたち家族はどうなってしまうのか……。精密な筆致で描かれるポストアポカリプスの世界の行く末を、是非その目で見届けてほしい。

□ジャンプ+「空飛ぶモグラ」を読む

【あらすじ】

 世界が酸の海に呑まれ、人類が地下に逃げ延びてから100年。だが今やその延命措置も限界を迎え、国がまたひとつ滅びつつある。そんな終末の国と家族の結末の話。