特別企画

ついに始まる「鬼滅の刃」劇場版「無限城編」。その第一章「猗窩座再来」で描かれる、隊士と鬼との因縁に注目

【劇場版「鬼滅の刃」無限城編】
7月18日 公開予定

【拡大画像へ】

 もはや言わずと知れた、吾峠呼世晴氏原作の国民的大人気作「鬼滅の刃」。その新たな劇場版アニメ「無限城編」の第一章「猗窩座再来」が、7月18日より公開となる。

 本作は、原作コミックス第1巻から第7巻の冒頭までを映像化した「竈門炭治郎 立志編」、その続編であり炎柱・煉獄杏寿郎と上弦の参・猗窩座の激闘を描いた劇場作品「無限列車編」、その後もTVシリーズとして製作された「遊郭編」、「刀鍛冶の里編」、「柱稽古編」に続く、アニメ第6弾となる作品。直前の「柱稽古編」最終話、原作コミックスでは第16巻に収録の139話「落ちる」から火蓋を切った、「鬼滅の刃」最終局面を三部作で映像化することが明言されている。

「猗窩座再来」では原作コミックス第16巻に収録の139話「落ちる」以降の展開が描かれる

 6月28日にYouTubeのアニプレックスチャンネルで公開された本作の本予告映像では、鬼たちの首魁・鬼舞辻無惨の側仕えである鳴女の血鬼術によって、無限城内部で散り散りにされた鬼殺隊の柱たちの姿とともに、大塚芳忠氏が声を担当する鱗滝左近次の独白が挿入される。暗転を挟んで続くのは、ねっとりとした響きを放つ上弦の弐・童磨の声。

 それに対する蟲柱・胡蝶しのぶが激しく剣戟を交わす場面や、普段の様子からは想像もできないほど鋭い視線を何者かに送る我妻善逸、そして本作に題された通り、再来する猗窩座の姿を確認することができる。

 この記事では、そんな「無限城編」第一章「猗窩座再来」の見どころについて紹介していく。軽いネタバレも織り交ぜることになるので、気になる方はご注意を。

【『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』本予告】

「猗窩座再来」で描かれるであろう3つの戦い

 まずは、作中で描かれるであろう要素を整理したい。原作第16巻以降の内容と、本予告映像から読み取れる展開としては「しのぶと童磨の戦い」「善逸と獪岳の戦い」そして「炭治郎&水柱・冨岡義勇と猗窩座の戦い」だ。原作では、炭治郎たちが猗窩座と邂逅するまでにそれぞれの戦いは決着が着いていたので、劇場アニメ化にあたり構成の変更等がなければ、同じく「しのぶvs童磨」「善逸vs獪岳」はその結末までが描かれることになるだろう。

 上映開始前の予告編などを差し引いても、「猗窩座再来」の上映時間は2時間半はあることが明らかになっており、「無限列車編」の約2時間に比べて30分ほども長尺だ。それだけで言い切れるものでもないが、もしかすると「猗窩座再来」は猗窩座との戦い、そのすべてと、多くの読者の心を揺さぶった彼の過去について、最後まで描かれるのかもしれない。「無限城編」というタイトルが無限城で起こること=無惨との最終決戦は除く、という区分けによって付けられていると仮定しても、猗窩座との決着を描き切るくらいの進行度でなければ尺が足りないような気もする。

最速上映では、24時から上映開始し26時55分終了予定となっている。予告編が10分~15分あるとしても、2時間40分は本編の尺があることになる(画像はTOHOシネマズ公式アプリ)

 「鬼滅の刃」ではおなじみの構成となっているのが、鬼との戦いに決着がついた後に差し込まれる過去回想。彼らはどのような生い立ち・経緯で、人ならざる悪鬼へと成り果てたのか。「猗窩座再来」で猗窩座との決着までが収められるとしたら、無論、猗窩座の過去も描かれることになるだろう。原作ファンの中でも屈指の名エピソードとして評価を受ける猗窩座の過去、それをどのように見せてくれるのかは間違いなく本作の評価を左右するポイントだ。

銀幕映えする血鬼術の表現と、これまでとは一線を画す戦いに身を投じる剣士たち

 ここからは、個人的に期待する「猗窩座再来」の見どころについて語りたい。アニメ「鬼滅の刃」シリーズが多くのファンに支持されるポイントは数あれど、その中でも鬼殺隊の剣士たちが操る呼吸の剣技、そのアニメーションならではといえる表現を突き詰めた映像体験と、人間と鬼……生物として圧倒的不利な戦いを強いられるキャラクターたちの命を賭した様に説得力を与える、声優陣の鬼気迫る演技。この2つが大きなポイントであることに異議はないだろう。

 今作でも同じく、「炭治郎や柱たちの駆使する剣技をどのように見せてくれるのか」という期待はあるが、それ以上に気になっているのは、鬼たちの使用する血鬼術の方だ。童磨が操る、氷を用いた血鬼術はいかにも華やかで銀幕映えすることが想像に難くないし、善逸の兄弟子だった鬼・獪岳は、雷の呼吸の剣技に自身の血鬼術を上乗せして黒雷を放つ。その派手さや、一度受けたら最後、体を割り続けるという獪岳の血鬼術をどのように表現するのかワクワクする思いだ。

 また無限城に突入してからの戦い全般には、これまでに描かれてきた戦いとは明らかに異なる点がある。それは「鬼と相対するキャラクターとの間に明確な因縁がある」という点だ。しのぶは先代花柱である実姉・胡蝶カナエの敵討ちを、善逸は兄弟子が鬼となったことで、その責任を取る形で切腹した育手(そだて)の元鳴柱・桑島慈悟郎の無念を、そして炭治郎は言うまでもなく、煉獄杏寿郎の雪辱を晴らすという、それぞれに抱く想いがある。この激情を秘めたキャラクターたちを、各担当キャストがどのように演じるのか……そういう視点での楽しみもある。

童磨と退治する胡蝶しのぶ

 そういった意味では、今回特に注目したいのが善逸だ。戦闘時には(意識を失っているが)頼りになるものの、普段はおちゃらけた言動が目立つコメディリリーフ的な役回りの善逸。「柱稽古編」でとある文を受け取ってから彼の様子は一変し、先の予告編でも少々触れたが、今回の善逸は戦いに対して腰が引けた、軟弱ないつもの雰囲気が一切ない。激しい敵意を剥き出しにする善逸を、担当キャストである下野紘氏がどのように演じるのかが気になっているファンは多いだろう。その真相はぜひ、7月18日の公開後に劇場で確かめてほしい。

激しい敵意を剥き出しにする善逸