特別企画
「創刊50周年 花とゆめ展」はパーティさながら!「ガラスの仮面」から「暁のヨナ」など多数の原画を展示
2024年5月24日 01:30
- 【創刊50周年 花とゆめ展】
- 会期:5月24日~6月30日
- 開館時間:10時~22時
- 会場:東京シティビュー
- 価格:2,200円(一般、平日/当日券)
少女まんが雑誌「花とゆめ」が創刊から半世紀を迎えた2024年、レジェンド作家から連載中の人気マンガ家まで総勢74名が大集結した「創刊50周年 花とゆめ展」(主催:白泉社、産経新聞社)が、六本木ヒルズ森タワー52階・東京シティビューにて5月24日より6月30日にかけて開催される。
この展示会では、「花とゆめ」を彩ってきた連載マンガ「ガラスの仮面」、「パタリロ!」、「動物のお医者さん」、「ぼくの地球を守って」、「なんて素敵にジャパネスク」、「赤ちゃんと僕」、「フルーツバスケット」を始めとする原画約200点の展示に加え、「花とゆめ」の世界観に浸れるフォトスポット、歴代のふろく、作家仕事場紹介、パタリロ!おみくじなど、さまざまなコンテンツが豊富に用意されている。コンセプトは「50周年記念パーティ」とのことで、随所にさまざまなお祝い感満載の演出が盛り込まれていた。
会場は大まかにエントランス、「花とゆめ」50年の歴史、原画コーナー、物販スペースの4コーナーに分かれている。エントランスには、歴代作品がプレゼント箱として重なった、ウェディングケーキを模した巨大なアニバーサリーケーキタワーが用意され、来場者をもてなす。その奥には創刊から10年ごとに区切られ、各時代ごとのトピックスが50年分掲載された「花とゆめ」歴史コーナーが設けられていた。
その先が本展示会のメインとなる、作家74名による渾身の原画が展示されているスペース。1976年1月創刊号から連載が開始された、美内すずえ先生の「ガラスの仮面」や和田慎二先生「スケバン刑事」の記念すべき第1回目扉イラストがそろい踏みしたほか、日渡早紀先生「ぼくの地球を守って」からも、連載開始時の巻頭カラーが登場。
高屋奈月先生「フルーツバスケット」からは、最終話掲載時の「花とゆめ」表紙を飾ったイラストがお目見えしている。筆者は「なんて素敵にジャパネスク」から「花とゆめ」を読み始めたのだが、その生原画を間近で見て、その迫力に驚いたほど。実際に見れば、印刷されて誌面に掲載されたものとは違う、“魂のこもった絵”を感じ取ることができるはずだ。
原画が展示されているスペースには晩餐会さながらにテーブルに盛りつけられた、懐かしのふろくやグッズも飾られている。中でも注目したいのは「作家の仕事場再現」コーナーだろう。ここでは、いち早くデジタル環境を構築して作業を行っている福山リョウコ先生(「覆面系ノイズ」など)と、現在もアナログにて作業している草凪みずほ先生(「暁のヨナ」など)のデスクを精巧に再現。画材や資料、息抜きアイテムなども揃えられており、プロの先生方がどのようにして仕事をしているのかをうかがい知ることができるのだ。
他にも「『花とゆめ』作品のラフ・ネーム」と題したコーナーには、安斎かりん先生の「顔だけじゃ好きになりません」、師走ゆき先生「多聞くん今どっち!?」、草凪みずほ先生「暁のヨナ」、幸村アルト先生「ピチカートの眠る森」、そして樋口橘先生の「学園アリス」それぞれのラフ画が展示されている。ここ以外では見られない貴重なものなので、見逃すことのないようにしたい。
半世紀にわたり刊行され続けていたこともあり、メディアミックス展開された作品も数多い。そこで「パタリロ!」を始めとした、メディアミックスタイトル一覧を見ることができるコーナーも用意されていた。テレビアニメ化はもちろんのこと、テレビドラマ化・舞台化された作品の多さに驚くのではないだろうか。
会場の最後には、50周年を記念して特別に作られた展覧会コラボグッズを用意した物販スペースもある。今回、ここでしか購入できないものばかりが並べられているが、種類も豊富なのであらかじめ展覧会公式サイトで確認しておくと良いだろう。
「創刊50周年記念 花とゆめ展」の開催を記念して、展覧会会場に隣接するカフェ「THE SUN & THE MOON」では、コラボカフェが実施されている。「ガラスの仮面」のマヤ、亜弓、月影先生、真澄社長たちが創刊50周年をお祝いするイメージで作られた“マヤたちからの「花とゆめ創刊50周年アニバーサリーケーキ」や、「フルーツバスケット」をイメージして作られた“フルーツ盛りだくさんのバスケット”などが用意されているので、展覧会を鑑賞後に「推しトーク」に花を咲かせながら味わうのも一興だ。
「マンガは、“明日また頑張ろう”という力になるといい」
開催に先立ち行なわれたプレス内覧会には、白泉社代表取締役社長の菅原弘文氏、花とゆめ編集部編集長の長谷川貴広氏、産経新聞社常務取締役の鈴木裕一氏が登壇した。挨拶に立った菅原氏は「1974年5月に創刊されてから、今年で50年の節目を迎えます。今回の展覧会は“パーティ”をキーワードに、性別も時代も超えて幅広い方々に『花とゆめ』が届けてきたトキメキと感動の数々を楽しんでいただきたい」とコメント。さらに「創刊号から『ガラスの仮面』や『スケバン刑事』といった、これまでの少女漫画にはなかった作品をスタートさせることで、独特の世界観を描くことができた」と語ってくれた。
ここでテープカットが行なわれ、続けて“歴代編集長が「花とゆめ」の創刊50周年を振り返る!”と題したトークショーとなった。ここでは前述の長谷川氏に加え、編集部長の高田英之氏が参加。創刊50周年を迎えての想いを聞かれると、高橋氏は「シンプルな答えですが、感謝の一言です」、長谷川氏は「読者の方々、先生方に感謝です」と、互いにお世話になった方々への謝意を述べた。
50年の軌跡については、長谷川氏が「創刊時から『ガラスの仮面』、『スケバン刑事』といった少女マンガの枠を飛び出した作品が数多くありました。その流れは引き継がれていき、『ぼくの地球を守って』、『なんて素敵にジャパネスク』、『動物のお医者さん』など個性的な作品が増えていきました。
2000年代になるとメディアミックスが多くなり、『フルーツバスケット』、『神様はじめました』など、アニメ化される作品も増えました」と、その移り変わりを話してくれた。これに高田氏は「初代編集長が“面白ければ何でもあり”とのモットーを掲げていて、それに賛同した先生方が集まってくれました。その才能が凄くてバラエティに富み、皆さん個性が強かったので、こうして『花とゆめ』は面白い雑誌になっていったのではないかと思います」と説明を加えた。
そうして迎えた創刊50周年にあたって開催された今回の展示会について、今までと異なる部分について問われると「これまではサイン会や声優さんのトークショーとのセットだったりしたのですが、原画展を中心にした展示会は初めてです」と長谷川氏。高田氏も「今回は創刊号から現在までを網羅しているし、当時の原画をお借りしたりしています。これだけ大がかりなイベントは、多分しばらくやらないと思います」と、その規模の大きさを違いと教えてくれた。
イチオシの展示については「仕事机を再現したところですね。草凪先生のアナログ机と福山先生のデジタル机。この50年の歴史が、ここに詰まっているような感じです」と長谷川氏が答え、高田氏は「パタリロ殿下のおみくじコーナーも良いです。本当におみくじが引けますので、ぜひ」とプッシュ。
最後のまとめとしては「『花とゆめ』を読んで、その方の人生が少しでも豊かなものになってくれると嬉しいなと思いますので、気軽に手にとって読んでもらえるとありがたいです」と長谷川氏が述べると、「今の作品を以前の読者の方が読んでも面白いし、今の読者が昔の作品を読んでも面白いと思います。マンガは、“明日また頑張ろう”という力になるといいなという思いで作っています。心の栄養剤のようなものを皆さんにこれからも提供できるよう、そして新しい50年を頑張っていければと思っています」と高田氏がコメントし、トークショーは閉幕となった。
(C)美内すずえ・山岸凉子・和田慎二・魔夜峰央・山内直実・河惣益巳・日渡早紀・羅川真里茂・山田南平・高屋奈月・仲村佳樹・中条比紗也・日高万里・樋口橘・福山リョウコ・草凪みずほ・鈴木ジュリエッタ・ミユキ蜜蜂・師走ゆき/白泉社 (C)佐々木倫子/小学館