特別企画

貴重な生原稿や”等身大の山田”!「桜井のりお 画業20周年記念展~ひすとりーすくーる~」内覧レポート

「子供学級」から「僕ヤバ」までの20年を高密度で振り返る

【桜井のりお 画業20周年記念展~ひすとりーすくーる~】

・開催期間

5月10日~6月10日(東京会場)

7月12日~8月12日(大阪会場)

・会場

Space Galleria@アニメイト池袋本店8F(東京会場)

Space Gratus@アニメイト大阪日本橋別館3F(大阪会場)

・料金

前売り券:2,000円

当日券:2,200円

 ムービックは、5月10日より「桜井のりお 画業20周年記念展~ひすとりーすくーる~」を順次開催する。5月10日より6月10日まではSpace Galleria@アニメイト池袋本店8F、続く大阪会場では7月12日より8月12日にかけてSpace Gratus@アニメイト大阪日本橋別館3Fが会場となる。前売券の価格は2,000円で、当日券は2,200円。入場特典として、全3種類からランダムで配布される描き下ろしミニ色紙が配布される。

 桜井のりお氏といえば、秋田書店から刊行されている「週刊少年チャンピオン」にて「子供学級」、「みつどもえ」、「ロロッロ!」そして「僕の心のヤバイやつ(現在はチャンピオンクロスにて連載中)」などを手掛けた漫画家だ。展示会は氏の画業20周年を記念して、これら4作品を中心に振り返る内容となっている。

 今回は5月10日からの東京会場での開催に先駆けて行なわれた関係者向けの内覧会に参加することができたので、ここでその模様をお届けしよう。

桜井のりお氏20年の歴史!「僕ヤバ」コーナーでは2人のこれまでを追体験

 会場に入ると、最初に出迎えてくれるのは「子供学級」、「みつどもえ」の生原稿が配置されたスペース。原稿は各タイトルごとに用意された区画いっぱいに展示されており、その数の多さに驚かされた。どれもこれも貴重なものなので、1枚ずつジックリと見たいところだ。比較対象用として、誌面に掲載された完成原稿も置かれているため、作業のビフォーアフターを確認することもできる。

2003年から2005年まで連載されていた「子供学級」は、見た目は小学生しかし実年齢は22歳という女教師・小島梅子が、担当する5年2組の生徒を相手に真の教育を施すべく、教育委員会も真っ青な授業を繰り広げていくバイオレンスコメディ。初期作品のためか、展示物は他と比べてゆったり目に並べられている
アニメ化もされた「みつどもえ」は2006年から休載を挟み2017年まで連載された、「日本一似てない三つ子」の丸井みつば、丸井ふたば、丸井ひとはの3姉妹が織りなす抱腹絶倒な日々を描いたギャグ漫画。非常に多くのカラー原稿が展示してあり、賑やかな雰囲気
「ロロッロ!」は、2016年から2020年まで連載されていたSFコメディ作品。友達のいない女子中学生の森繁ちとせはある日、父親によって作られた人型ロボットの炉端イチカと出会う。彼女はイチカがロボットだと信じてはいないが……。「子供学級」と「みつどもえ」は教室を元にデザインしたスペースになっていたが、ここは部屋の奥に裸のイチカが!
「子供学級」、「みつどもえ」、「ロロッロ!」の3タイトルが展示されている反対側には「桜井のりお先生ヒストリー」と題して、のりお先生のマンガに関する歴史が事細かく描かれた年表が飾られている。密度が濃いうえに長いので、じっくり腰を据えて見ていきたい

 3タイトルの展示スペースを抜けた先は、先日アニメ2期の放映が終わった「僕の心のヤバイやつ」コーナーとなっている。記念展のメインで最新作ということもあり、かなりのスペースが割かれていた。なんといっても見所は、随所に飾られたカギとなるコマを読んでいくことで、主人公の市川京太郎がクラスメイトの美少女・山田杏奈に告白するまでの流れを改めて追体験できるところ。作中にキースポットとして登場する保健室、教室、そして図書館などがリアルに再現されており、2人のさまざまなイベントを思い返すことができるのも見逃せない。

保健室には、山田のジャージが布団の上に無造作に置かれており、それがかえって生々しさを醸し出している。壁には山田がボールを顔面で受けて鼻血を出し、保健室で治療するシーンのコマも飾られていた。これがきっかけの1つとなり、京太郎は山田が好きだと認識することに
教室には机が12個並んでおり、それぞれに原画が設置されている。もちろん教卓の下には例のシーンを再現して京太郎と山田が隠れているので、ぜひ現地で見てほしい。左右の壁面にはネームが展示されているほか、一部の机の中には何かが隠されているかも!?
図書館スペースに入ると、お出迎えしてくれるのは椅子に座った山田。そのリアルさに、最初は本当に人がいるのかと驚いたほど。もちろん本棚の向こう側には原作と同じく覗きスペースが用意されているので、反対側から見る楽しみもある。他のお客さんがいなければ、山田の正面に座って撮影するのもアリだろう
図書館奥には、修学旅行で訪れた伏見稲荷大社を模したスペースに、狐のお面を外した等身大の山田が展示されている。壁には、京太郎が山田に告白した“あの”シーンが掲示されているほか、そこへ至るまでの名ゼリフの数々も飾られているので、感動のシーンをもう一度味わえる

 展示スペースの奥には、物販コーナーが用意されている。ここではアクリルスタンドやクリアファイル、山田の「抱きしめクッション」や各作品の「原稿袋入り複製原稿風セット」などさまざまなアイテムが購入可能となっているので、じっくり選んで記念品をゲットしたいところ。なお、販売アイテムは展示会の公式ページにも掲載されているので、こちら是非チェックして欲しい。

会場ではアクリルスタンドやクリアファイルセット、「抱きしめクッション」や「原稿袋入り複製原稿風セット」などが販売されている

 本展示は全体的にスペースに対しての展示物密度が非常に濃く、意外な場所にイラストが描かれていることもある。見落としなく一度ですべてを堪能するのは難しいのではと思ってしまうほどの物量で、あちらこちらをアクティブに探し回る楽しみもある。是非会場ではじっくりと、桜井のりお先生20年の歴史を堪能して欲しい。