特別企画
年間200冊を読むマンガファンが勧める“マンガの探し方”
書店で信じるのは己の直感! ビビッときた衝動は信じてみる
2024年1月23日 10:00
筆者は趣味や仕事でゲームを遊ぶ以外に、空いた時間を使ってマンガを読むことが多い。改めて数えてみてみると2023年は紙、電子書籍合わせておよそ200冊ほど読んでおり、実際のところ基本的に電車など公共機関で移動するときや、家で何もやることがないとき・やる気が起きない時はマンガか小説を読んでいる。
ゲームライターとして活動しているためゲームをする、原稿を書くという仕事以外で気軽に別世界を楽しむことができるマンガや小説は筆者にはもってこいのコンテンツだ。
そこで今回はMANGA Watchプレ創刊に合わせて筆者のマンガの見つけ方・探し方について紹介していきたい。マンガはもっぱら紙派だが、紙媒体のいい部分や書店に実際に足を運ぶことで生まれる作品との出会い。逆に電子書籍やアプリを利用した合せ技などについても触れていく。好みの作品を見つける一助になれば幸いだ。
筆者のマンガとの出会い
筆者がマンガを読むようになったのは小学2年生ごろだったように思う。まだ父親に連れられて床屋に強制的に連れて行かれていたころだ。その床屋は家から遠く、兄弟と父親の散髪が終わるまで1時間以上じっと待っていなければいけない。そんな時に床屋のおじさんが進めてくれたのが「月刊コロコロコミック(小学館)」だった。その当時は本当に退屈しのぎにパラパラとめくる程度だったが、当時ゲームで遊んでいた「スーパーマリオブラザーズ3」の主人公マリオを題材にした「スーパーマリオくん」という作品が載っていたことだけはよく覚えている。
そこから徐々にマンガを読むようになり、女子ながら最初は少年誌ばかりだったが、学年の女の子の会話についていくために少女マンガも読むようになった。もともと物語が好きなのと、一度読み始めたものは“絶対に結末を知りたい”という謎のこだわりがあり子どもの頃もとにかくマンガをよく読んでいた。
ちなみにアニメはあまり見ていない。ゴールデンタイムのテレビのチャンネルの決定権が父親にあったのと、TVアニメが放映している時間帯は塾に行っていたのでよくわからないものが多い。塾がない日か休みの日にテレビで何かやっていれば見る程度で、今も続けて見る習慣がない。
マンガはよく読むジャンルが決まっているわけではなく、基本目に付いたものは何でも読むが、性格的に駆け引きとかがよくわからないというのもあり恋愛ものが得意ではない。恋愛ものは苦手だが少女マンガももちろん読む。個人的にストーリーがハマれば何でも楽しく読むのが信条だ。
個人的に紙が好き! 電子書籍もいいけど紙の良さを語りたい
昨今電子書籍やアプリで読めるマンガが増えてきたが、個人的には紙のコミックスや文庫で読むのが好きだ。
子どものころから慣れ親しんでいるというのもあるが、大きな理由は充電を気にしなくていい、目に見えてコレクションが増える、意外と場所を選ばずどこでも読めるといったところだろうか。筆者はちょっとものぐさなのでスマートフォン以外の充電を忘れがちになる。なので電子書籍リーダーやモバイルバッテリーの充電もすぐ忘れてしまう。紙のコミックなら、そんなときでも家を出る際に棚からササっと鞄に入れられてそのまま出られるのが楽でいい。また外出先で充電を気にしなくていいし、電波状況を気にしなくていい。特に地下鉄や新幹線に乗ってスマートフォンでマンガを読んでいるとページの読み込みのタイミングで電波の悪いところに入ってしまうこともあり、なかなか読み込まれずうずうずしてしまうことも、紙なら気にしなくていいのだ。
また、際限なくマンガ買って読んでしまうからこそ、ある程度目視で手元にある本の数を確認できるため自分にブレーキをかけ買いすぎを防止できる。筆者は基本的に買った本は捨てることも売ることもしないので本がどんどん増えていく。ある程度増えたら買い足すことを諦めるだろうと思っていたが、正直これはあまり効果がなかった。でもマンガが増えていくとそれはそれでコレクションが増えるので嬉しい。
そして最後は紙の本は割とどこでも読めるということだ。病院や役所の待ち時間や電車やバスを待っているとき、公共交通機関の中など、周りの人に多少配慮が必要な場所でも普通に読めるのもいい。
あとなにより、ペラペラとページをめくっているときが何よりもワクワク感がある。スマホでもそんなに変わらないといえば変わらないのかもしれないが、筆者はあのページをペラッとめくる感覚がとにかく好きだ。またコミックスによって紙の質感が違うものやドラゴンボールのように背表紙をつなげていくと一枚絵が浮かんだり、「黒執事」のようにカバーを外すと今回の表紙絵のパロディが描かれていたりと、マンガの本編以外にも遊び心満載のものがあるのも楽しい。
マンガをどうやって選ぶ? 筆者は何よりも「勘」重視
そんな筆者だが、時折どうやってマンガを選んでいるのか聞かれる。
最近だとSNSで投稿がバズり、そこから爆発的にみんなに認知されていくが、その前に誰かが必ず見つけているものだと思う。
筆者のマンガの探し方は主に3つのパターンが存在する。1つ目は「マンガアプリなどで新連載されているものを数話読む」。2つ目は「書店に行ってぐるっと回って目に付いたものを調べる」。3つ目は「目に付いたコミックスの帯や書店員さんのコメントを見て決める」という感じだ。
1つ目以外はいわゆる自身の“勘”頼りというだけだ。なぜ勘なのかと言われるとちょっと説明しにくいが、映画にせよ小説にせよマンガにせよゲームにせよどんなエンターテインメントでも個人的な好みというのはどうしても外せない。それがどんなにヒットしている作品であろうとも、読んでみたら自身の肌に合わないというのはどうしても起こると思っている。なので、ヒットしている・していないよりも自分が気になるという勘の方を大切にしている。もしそれで外したら勘どころが違ったのか、それとも何か引っかかるものがあったけどそれ以上に苦手な部分があるのかもしれない。
ただ、書店で気になる作品を見かけてどうしようかなと悩んだ時はあえてその場では買わず、あえて電子書籍をここで活用。数話分を試し読みして買うかを決めることもある。
また、店頭に足を運ぶことのメリットもあり、自身の勘を頼りにすることの逆になるが、書店員さんのレビューに惹かれて衝動買いするというパターンもある。似たパターンとして帯に書いてある他の人のコメントも参考になる。よく読む小説家さんが褒めていたり、煽り文句が気に入ったりしたものもよく買っている。
表紙や帯、書店ならではのレビューやポップを見て、自分がおもしろそうと一瞬でも感じたら、自身の感性のどこかの琴線に触れていると思う。流行りに乗ってみるのもいいが、自分にあった作品を発掘したいときは実際に足を運んでみてもいいかもしれない。
少し脱線するが最近書店で見つけて読んだのが、ふじもとこっち氏のマンガ「イトミミズ」だ。本作は閉塞的な村に住む主人公はイジメられており、その主犯の子を勢いで銃殺してしまう。そしてその死体は忽然と消えてしまう。殺した事を誰にもバレないように必死に抗っていく物語になっている。
まだ1巻のみだが、良くも悪くも筆者のよく知る田舎の閉塞感とその場所でしか通じない価値観を感じられる。都会でもあるのかもしれないが、ド田舎出身の筆者には30年前の苦い思い出を彷彿とさせるほど情景がリアルに描かれている。主人公の少年の心情が本当にありありと描かれているので、読んでいて心が痛くなる。サスペンスとしてはまだ始まったばかりなので展開自体はそこまで進んでいないが、展開が気になるものになっている。
アプリや電子書籍にも良さはある! どっちも楽しめたら最高だ
ちなみに紙の本が好きな筆者だが、普通にアプリや電子書籍でもマンガは読む。電子書籍のほうがむしろ手軽だし、家でぱっと買って読むことができるので「今読みたい!」という欲求を叶えてくれる最高のシステムだと感じる。今では各出版社のアプリで連載を行ない、コミックス化さらにはアニメ化ということも少なくない。誰でも気軽にマンガを楽しめるし、置くスペースを考えなくていいという意味でも、いい時代が来たなと思っている。
電子書籍やアプリで読めるようになってから、子どものころ金銭的にそこまで手が出なかったマンガについ手が伸びるようになった。思い出補正もあって財布のひもが緩くなって困る。
またいくつか読んでいくとアプリ内でオススメのマンガを提示してくれるのもいい。似たジャンルのものや同じ作品を読んでいる人がどのような作品を読んでいるのかを把握できるし、新しい出会いもある。
そういった意味では書店で新しいマンガを探すというのは、あまり理にかなっていないかもしれない。ただ、書店で探すのも個人的にはめっちゃおもしろいと思っている。アプリのオススメでは出てこないような作品に出会ったり、書店員さんが実際に読んでみたコメントや帯に書いてあるコメントは書店に行かないと見れない。自分の勘と他の人のコメントが書店にいる中でハマった瞬間はワクワクが止まらなくなってそのまま買う。それも楽しい。なんだか童心に帰ったようなワクワク感がある。
どっちも良さはあるので、どっちを選んでもいいと思うし、両方取ってもいい。そういう選択肢ができた今は本当にいい時代だと思う。
ただ、最近書店もだんだん少なくなってきたので、書店での出会いも今以上に大切にしていきたいと思う。勘を頼りに探してみるのも楽しいのでぜひ試しに書店で探してみてほしい。