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はがして消す新発想!セーラー万年筆「ケセラ ボールペン」徹底検証

【ケセラ ボールペン】
2月21日発売
価格:各330円

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 セーラー万年筆から、新発想の消せるボールペン「ケセラ ボールペン」が2月21日より発売される。価格は330円。替芯も同時に発売されており、価格は各165円。

 消せるボールペンは消して書き直しができるという特性から、スケジュールやタスクを管理するメモ、学生の勉強用、家計簿や育児記録など、仕事や家庭で幅広く使われている。

【ケセラ ボールペン】

 現在市場に流通している消せるボールペンには、圧倒的シェアを誇るパイロットの「フリクション」シリーズをはじめ、三菱鉛筆の「ユニボール R:E」、イタリアのステーショナリーメーカーLEGAMI(レガミ)の「消せるゲルペン」などが知られている。これらのボールペンは熱によって消える特殊な水性ゲル系インクを使用している。

 これらに対して、今回紹介する「ケセラ ボールペン」は、プラス、ぺんてる、セーラー万年筆が共同開発した大粒子、低粘度の顔料インク「Que Será」を使用しており、一度書いた文字を物理的にはがして消すという、これまでにない消去法が特徴だ。

 今回、サンプルを借りることができたので、早速使い心地などをお届けしたい。

キャップについた専用の消し具で消して何度でも書き直せる

万年筆を思わせる安定感。濃淡が美しい「0.8mm」の書き味

 まずは見た目から紹介していきたい。軸は白、キャップは黒。軸とキャップの隙間からはインクの色と同じグリップ部分が一部見えるので、それで何色のペンなのかが分かるようになっている。

デザインはどの色も白い軸に黒いキャップで統一されており、外側に見えているグリップの色でインクを判別する

 キャップにはポケットなどにひっかけるためのクリップと、先端には文字を消すためのラバー製の「消し具」が装着されている。長さは145mmで一般的なサイズだが、径はやや大きめでボールペンというよりもサインペンを思わせる。キャップを開くとグリップ部分はゴムになっており、立ち仕事の時など不安定な場所でもしっかり握って文字を書ける安定感がある。

我が家にあったサインペンやボールペンとのサイズ比較、太さなどはどちらかというとサインペンに近い
キャップの先端には消し具が付いている
ペンの先端。クリアなパーツを使用して軽やかな雰囲気
軸部分はコストを抑えるためかシンプルな作り
インク部分。軸が太いぶんたっぷりサイズ

 ボールチップはステンレスでボール径は0.8mmの太字。インクの色はブラック、レッド、ブルーの3種類。黒は濃いグレー、赤は鮮やかなレッド、青は発色のいい水色に近いブルーとなっている。油性ボールペンほどクッキリとエッジが効いた濃色ではなく、いずれの色も少し淡い優しい色味で書き味にも柔らかさを感じされる。書いた線は場所によって微妙な濃淡が付く。太字と相まって、まるで極細の筆で書いたようなニュアンスが楽しめる。

コピー用紙に書いてみた。青はどちらかというと水色に近い色合い
黒のアップ。書き始めや、スピードを出して書いた部分には濃淡がつく

 書き心地は滑らかでスムーズ。ボール径が大きいので、細かい文字を書くよりも、大きな文字をのびのび書くのに向いていそうだ。細かい粒子の顔料インクなので、使っているうちに先端にインクの被膜がこびりつくことがある。そのまま使っても書くことの邪魔にはならないものの、時々先端を拭き取る必要はありそうだ。

 イラストも描いてみた。0.8mmと太字なので、くっきりした主線が引けるが、小さな絵では細部を詳細に描くのはやや難しかった。消し具の縁を使うとエッジを効かせて消すことができるので、ざっくりと描いた後に消し具のエッジを使って細部を調整といった使い方もできる。描いたり消したりしながら全体のフォルムを作っていると時間を忘れられた。ワイヤーフレームの構築や漫画のネームなどでは紙を使う人も多いだろう。そういったコンセプトの構築にはかなり便利なツールとなるのではないだろうか。

もちろんイラストも描ける。消せるという利点を生かして、ワイヤーフレームの構築などに便利そう

インクを「はがして」消す新体験。顔料インクとラバーが作る消去の仕組み

 顔料インク「Que Será」の仕組みを簡単に説明しておこう。顔料インクは、水に溶けない微粒子である顔料を使用したインク。染料インクに比べて耐水性や耐光性に優れており変色に強い。

 「Que Será」のインク内には顔料とともに非常に細かいゴム材が入っている。インクが乾燥するにつれて、粘着性のあるゴム材が顔料を巻き込み、被膜のように紙に吸着する。これを専用の消し具でこすると、被膜が紙面から剥がれ落ちる。物理的に被膜をこそげ落とすことで、ちょうど鉛筆に消しゴムをかけた時のように”消しカス”となって文字が消えていく。

インクの説明(公式HPより)

 さて、やはり気になるのは消え心地の方だろう。上でも書いたが、「ケセラ ボールペン」は顔料インクの被膜を物理的にはがすことで文字を消すという、これまでにない手法を採用している。紙に貼ったシールをはがすようなイメージだ。

 書いたものを消すには、キャップ先端に付いている硬いゴム製の「消し具」を使う。消し具の平らな部分やエッジの部分で文字を強くこすることで、被膜がはがれて文字が消える。消し心地は、遠目に見れば全く見えなくなるが、近づくとうっすらと筆跡に沿ってインクの痕跡が見えるという感じ。筆圧が強いとどうしても筆跡が紙に残ってしまうのは他の消えるボールペンと同様で、そのくぼみにわずかなインクが残っているという印象だ。

それぞれのインクで書いた文字を消してみた
黒は筆跡に沿って多少インクが残っている部分もあるが、赤や青は筆圧でへこんだ痕跡以外は綺麗に消え、小さな消しカスが残る

 ちなみに書いた直後よりも、しっかり乾燥した後に消した方が綺麗に消えた。紙質の違いでいうと、表面の凹凸が大きいざらざらした質感のもののほうが書き味がいいが消えにくく、インクが乾きにくいつるつるした紙では、ほとんど痕跡を残さず綺麗に消えた。

 こそげ落すだけなら消しゴムでも消えるかもしれないと思いテストしてみたが、全く消えなかった。爪で強くひっかいても消えない。キャップのゴムでぐっと力を入れないと消えないので、摩擦でこすれ落ちる心配をする必要はなさそうだ。

「熱で消える」弱点を克服。環境を気にせず保存できる安心感

 「ケセラ ボールペン」が他の消えるボールペンと一線を画しているのは熱でインクが消えないという点だ。従来の消えるインクは60℃以上で文字が消え始める。これを利用して下書きや、布を裁断するための印付けに使われることもある。

 だが夏に高温になる車内やストーブのそばなどで、文字が意図せず消えてしまうこともある。逆に-10℃以下ではインクの色が復活するので、寒い場所で、消したはずの文字が意図せず見えてしまうということもある。

 顔料インクはこうした液体インクのもつ環境による不安定さを払しょくし、能動的に消さない限りは消えることがないため、長期保存したいメモなどに向いている。実際、ファンヒーターやドライヤーの風に当ててみたところ、従来の消えるインクが透明になる温度でもケセラ ボールペンで書いた文字はしっかり残っていた。

高級万年筆メーカーらしいこだわりと使いやすさ

 今や大定番となった消せるボールペン市場に、セーラー万年筆が満を持して発売した新たな消えるボールペン。見た目は非常にシンプルなデザインながら、インクの滑りや書き心地は素晴らしく、あえて少し軸を太めにすることで万年筆のような安定感を楽しめる。そういった製品全体に、高級万年筆やボールペンのメーカーらしい品質へのこだわりを感じた。

 公式ホームページでは、被膜を作るという顔料インクの特徴を生かして、ケセラで書いた文字の上からマーカーで色を重ね、後からケセラの筆跡だけを消すことでまるでマスキングをしたように白抜きを作ることができるという使い方が提案されている。発売後はさらなる使い方がユーザーの中で育っていくだろう。筆者も発売されたら、購入して便利な使い方を考えてみたい。