先行体験

「だがしかし」「よふかしのうた」に加え秘蔵の資料も初公開! 「画業10周年記念 コトヤマ展」内覧レポート

会期:9月7日~10月6日

開場時間:11時~19時 ※最終入場18時半

会場:池袋・サンシャイン60展望台 イベントスペース

入場料:
前売券 大人1,800円/小学生・中学生900円
当日券 大人2,000円/小学生・中学生1,000円

 マンガ「だがしかし」が累計400万部、「よふかしのうた」が累計520万部と、大人気を博しているコトヤマ氏。当初はインターネット上でマンガを執筆していたそうだが、そこで週刊少年サンデー編集部にスカウトされ、2014年から週刊少年サンデーにて「だがしかし」の連載をスタート。2016年と2018年の2度にわたりアニメ化された後、2019年より週刊少年サンデーで「よふかしのうた」を連載開始。こちらも2022年にはアニメ化され、翌年23年に「よふかしのうた」で第68回小学館漫画賞を受賞するなど、さまざまな活躍をしてきた。

 その画業10周年を記念した展示会「画業10周年記念 コトヤマ展」が、9月7日からサンシャイン60にて開催となる。氏の原画展は2018年に開催された「アニメ2期放送記念 コトヤマ『だがしかし』原画展」に続いて2回目となるものだ。開催に先駆けてメディア関係者向けの内覧会が行なわれたので、その内容を一足先にお伝えしよう。

「だがしかし」「よふかしのうた」それぞれをイメージした空間に、多数の原画などが展示

 展示会場は「ウェルカムエリア」「だがしかしエリア」「コトヤマの部屋」「よふかしのうたエリア」「ドローイング映像&(秘)エリア」そして「グッズエリア」に分かれている。

 最初のウェルカムエリアでは通路の左側に設置された「だがしかし」のほたる、「よふかしのうた」のナズナが描かれた巨大なタペストリーと、右側にある各作品のキャラクターたちの等身大パネルが出迎えてくれる。

このエリアに展示されているのは、両手を広げても足りないほどの巨大なタペストリーと、登場キャラクターたち総勢18名の等身大パネルだ

 「ウェルカムエリア」の展示スペース入口では、入場者特典として描き下ろしイラストが描かれた全18種類のブロマイドのうち、各1枚が収められている紙袋がぶら下がった束から1袋を引くことができる。

 展示スペースに入ると、最初に用意されているのが「だがしかしエリア」。ここには、本作ストーリーのメインとなるお店「シカダ駄菓子」が再現されており、店内にはマンガにも出てきた数々の駄菓子と、登場キャラクターたちのパネルが置かれている。ここで一緒に記念撮影するのもいいだろう。

非常に高い精度で再現されたシカダ駄菓子。置いてある駄菓子類はもちろん本物だ
店の前にはマンガのエピソードでも取り上げられた「ジャンケンマン」を模した「だがしかしクイズ」マシンが置かれている。出題に3択で答えていくのだが、ファンならば全問正解したいところだ

 そこから先のエリアには、原画とそれにペン入れした状態、そして実際に掲載されたバージョンの原稿が掲示されている。コトヤマ氏によって鉛筆で描かれたラフ画が、ペン入れを経て完成原稿となっていく様を見られる貴重なチャンスといえるだろう。

壁には等身大の登場キャラクターイラストと紹介文が描かれたパネルも。それぞれのキャラクターに合わせて原画が展示されている

 続いての「コトヤマの部屋」と名付けられたエリアには、ここでしか見られない初公開の設定画や“コトヤマ流イラストのヒミツ”と題したイラストとコラム、「だがしかし」「よふかしのうた」の初期設定などが展示されている。作品のルーツを辿ることができる展示となっているので、是非ジックリと見ていきたい。

イラストに加えて各種エピソードが書かれているパネルなどのほか、企業とのコラボレーション用に描き下ろしたイラスト、Xに投稿されたイラストそれぞれの原画も展示されている
「だがしかし」連載中、唯一のフルアナログ原稿になったというエピソードが原画と掲載原稿とともに展示されていた。普段はペン入れまではアナログで、トーンなどの仕上げをデジタルで行っているというコトヤマ氏だが、このときはパソコンが壊れたのでフルアナログになったとのことだ

 ここから先は、「よふかしのうたエリア」となる。作品をイメージした空間のためほんのりと暗めの演出がなされており、作品世界に入りこみやすくなる工夫が盛り込まれている。

 こちらにも登場キャラクターのイラストと共に紹介文が書かれた等身大パネルと、原画やペン入れした状態の原稿、そして完成原稿がそれぞれ展示されている。登場人物の多さと相まって原画枚数も豊富にあるので、時間をかけて隅々まで見て回りたい。特に繊細に描かれた原画が力強さを持つ完成原稿になるまでの変遷には、心底驚かされる。

マンガの中に出てくる夜の町をモチーフとしたエリアに多数の原画と原稿が展示されている。作中の一コマのように自動販売機も置かれているが、ボタンを押すと「よふかしのうた」の特徴的なワンシーンが流れるギミックが仕込まれている
こちらも各キャラクターに合わせて原画が展示されている。登場人物が多いため原画の枚数も数多くあり、見応えタップリ

 続いてのスペースは「ドローイング映像&(秘)エリア」となっている。ドローイング映像では、コトヤマ氏が実際に下書きからペン入れをしている様子が動画で紹介されている。滅多に見られない場面なので、しっかりと目に焼き付けておきたい。

 イベントスペースの最後には、「グッズエリア」が設けられている。ここでは、オリジナルTシャツや描き下ろしイラストを使ったアクリルスタンドなど、イベント限定商品が多数販売されている。この機会に買い逃すと二度と手に入らないかもしれないので、後悔の無いようにゲットしておこう。

 イベント会場と同フロアにある「てんぼうパークCAFE」では開催期間中コラボメニューが提供されている。「ココノツとほたるの駄菓子パフェ」と「コウとナズナのよふかしドリンク」の2種類が用意されており、コラボメニューを1品購入するごとに全4種類ある描き下ろしポストカードからランダムで1枚がプレゼントされる。

ココノツとほたるの駄菓子パフェはその名の通り駄菓子が入ったパフェ。コウとナズナのよふかしドリンクにはレモネードシロップが付属し、混ぜるとピンク色っぽく変わるようになっている。どちらも遊び心が詰まった1品となっている

コトヤマ氏が手がけた2作品の歴史に限らず、未公開の資料を見られる楽しさも

 「だがしかし」「よふかしのうた」と、コトヤマ氏を代表する2作品の原画やそれに関するエピソードなどを見られる「画業10周年記念 コトヤマ展」。時間の許す限り見て回ったが、展示されている原画の持つ線の迫力とペン入れした原稿の完成度の高さに終始圧倒されっぱなしだった。コトヤマ氏の原画を間近で見られる機会はなかなかないと思われるので、ファンならずともぜひ行ってみることをオススメしたい。