特別企画

ハンチョウのレシピ本が登場!? 「1日外出録ハンチョウ公式 男めしレシピ」を手にカニチャーハンを作る

【1日外出録ハンチョウ公式 男メシレシピ】

9月5日 発売

価格:1,430円

 マンガ「1日外出録ハンチョウ」と聞いて、あれか!とピンとくる人も多いだろう。「1日外出録ハンチョウ」は、福本伸行の代表作「賭博破戒録カイジ」の地下王国編の登場人物の一人である、E班の班長・大槻を主人公としたスピンオフ作品だ。

 「1日外出録ハンチョウ」は、大槻が1日外出券を使って地下労働施設から地上に外出し、グルメや旅行などで1日を楽しみ尽くす様子を描いた作品であり、「カイジの飯テロスピンオフ作品」というキャッチコピーが付けられている。「週刊ヤングマガジン」で7年以上連載が続いている人気マンガであり、2024年9月5日に最新19巻が発売されている。

 今回紹介するのは、その本編ではなく、本日9月5日に発売される「1日外出録ハンチョウ」に登場する料理のレシピ本、その名も「1日外出録ハンチョウ公式 男メシレシピ」(以下、男メシレシピ)だ。元の「賭博破戒録カイジ」から考えると、スピンオフのスピンオフという位置付けになる。

【書影】
お馴染みのB6版、144ページという仕様

 「1日外出録ハンチョウ」に登場する料理は、飲食店で出されるメニューだけでなく大槻や彼の仲間が自分で作るものもある。「男メシレシピ」には「1日外出録ハンチョウ」に登場する料理の中から選び抜かれた35品のレシピが掲載されている。構成としては大きく3部に分かれており、第一部が「めしと汁物」、第二部が「一品料理」、第三部が「パンとスープ」というタイトルになっている。

 第一部と第二部では、大半が1つの料理につき4ページが使われている(第一部と第二部の一部と第三部は1つの料理に付き2ページ)。4ページというのは見開き2つ分になるが、最初の見開きはカラーページで、料理の完成写真と必要な材料、調理時間や難易度、漫画に登場した料理のコマ、調理工程の写真がコンパクトにまとめられている。次の見開きは白黒ページで、具体的な作り方や調理のポイント、その料理が登場したエピソードや関連コラムが掲載されている。料理によって1人分のときもあれば2人分のときもあるが、食材や調味料も入手しやすいものばかり。調理工程の説明もわかりやすく、レシピ本としての使い勝手はよい。

見開きのカラーページ。料理の完成写真と工程、漫画に登場した料理のコマなどの情報がギュッと凝縮されている
見開きの次のページでは前ページの料理の詳細やエピソード、関連コラムなどが掲載されている

 また、レシピだけでなく、「1日外出録ハンチョウ」の描き下ろし漫画や、大槻と仲間の人物紹介、「1日外出録ハンチョウ」(19巻まで)の全話全メニューリストも掲載されている。特に全話全メニューリストは、レシピが本書に載っていないものも含めて網羅されているので、ある料理が何巻で登場していたのか思い出せない場合なども、本書があれば索引として利用できる。もちろん「1日外出録ハンチョウ」をよりディープに楽しむためのデータベースとしても楽しめるだろう。

本書の序盤には書き下ろし漫画「料本」も収録。ややメタ的な要素を含む内容となっており、レシピ本編への導入としてニヤリとさせてくれる
9月5日時点で最新巻となる19巻までのデータが全てまとめられている。逆に「料理が登場しない回がどれくらいあるか」といった調査にも使える

実際に”あの「カニチャーハン」”を作ってみた

 さて、「男メシレシピ」は料理本であるからして、実際に本書のレシピ通りに料理を作ってみた。作ったメニューは「大刻屋のカニチャーハン特盛りサービス1.5倍」(以下カニチャーハン)だ。この料理は、「1日外出録ハンチョウ」の第3話「捻込」に出てくる、大槻が学生時代通っていた町中華「大刻屋」の看板メニューである。

「大刻屋のカニチャーハン特盛りサービス1.5倍」の見開きカラーページ
「大刻屋のカニチャーハン特盛りサービス1.5倍」の調理工程の解説

 使う材料は、カニほぐし身(カニ缶)、卵、ごはん、たまねぎ、グリーンピース、青ネギ、紅生姜で、調味料としてサラダ油、味覇、醤油、ゴマ油も必要だ。味覇は、缶やチューブに入って売られている万能スープの素で、どんな料理でも味覇を入れれば中華っぽい味になるので、愛好者も多い。なお、創味シャンタンDELUXEとして売られているモノも基本的に同じなので、どちらでもかまわない。

 筆者は、料理を作るのが趣味だったり得意だというわけではないが、ここ5年くらい家族の昼食や夕食の7~8割くらいを作るようになり、ようやく少し慣れてきたところだ。といっても、よく作る料理は豚キムチや豚生姜焼き、カレーやおでん、ほとんど調理がいらない鍋料理など単純なものばかりで、頻繁に作る料理はレシピなどを見ずに適当に材料を切ったり調味料を入れたりして作る(だからわりと味が安定していない)。何かを参考にするときはクックパッドなどのレシピを見ながら作ることも多い。余ったご飯を使ったチャーハンもよく作るが、チャーハンはほぼ自己流である。「男メシレシピ」の「カニチャーハン」は、カニ缶を使うところがちょっと贅沢だが、とにかくレシピ通りの材料を揃えて、作ってみることにした。

用意した材料と調味料。カニ缶が少し贅沢だが、あとはありふれた材料でできる

 レシピを元に料理を作る場合、一番重要なことは、材料や調味料などの量をレシピ通りにすることだ。ちゃんと計量スプーンや量りを使って正確な量にするようにしたい。今回のレシピは1人分だが、正確なメニュー名が「カニチャーハン特盛りサービス1.5倍」というだけあって、ご飯の量が300gと通常のチャーハン1人分の1.5倍になっている。

 調理の手順は比較的シンプルで、まず、フライパンをよく熱してサラダ油を引き、溶き卵を流し入れ、卵が少しふっくらしたらご飯を投入し、強火でよく混ぜながら炒める。ごはんがパラパラになったら、みじんぎりにしたたまねぎと、カニほぐし身、グリーンピースを投入し、さらに炒める。味覇と醤油で味付けし、ゴマ油を垂らしてさっと炒めたら火を止め、器に盛り付け、青ネギと紅生姜を載せれば完成だ。

まず溶き卵を流し入れ、卵が少しふっくらしたらご飯を投入する
ごはんがパラパラになるまで強火で炒める
続いてみじんぎりにしたたまねぎとカニほぐし身、グリーンピースを投入
最後に味覇と醤油で味付けし、ゴマ油を垂らしてさっと炒める

 15分で完成すると書かれていたが、材料を刻んだりする時間も込みなので、調理自体は10分もあれば完了する。カニ缶を少し残しておいて、最後にトッピングするとより豪華に見えると書かれていたが、今回利用したカニ缶のほぐし身は色があまり付いていないため、カニがイマイチ目立たなかった。なお、グリーンピースは冷凍のものが見つからなかったので、袋に入った水煮タイプを使ったが、特に問題はないだろう。青ネギも関東だと珍しいので、小ネギで代用している。

 盛り付けはあまり綺麗ではないが、普段から適当に盛り付けているのでご容赦いただきたい。早速実食してみたところ、味覇とカニのおかげでしっかりとした味が付いておりなかなか美味しかった。筆者はかなり濃い味が好きだが、家族に試食してもらったところ、美味しいけどちょっと味が濃い(しょっぱい)という感想が返ってきたので、あまり濃い味が好きでないという人は、味覇や醤油を少し減らしたほうがいいかもしれない。

完成したカニチャーハン。中央にかにのほぐし身をトッピングした

 本当は中華鍋を使って直火の大火力で作った方が、もっとごはんがパラパラして美味しくなるのだろうが、IHコンロと普通のフライパンでも、レシピに従って1人前ずつ作れば、大槻の学生時代の御馳走であった「カニチャーハン」を再現できる。ご飯は少し固めに炊いておくのもポイントだ。ただし、カニ缶は1つ400円~500円程度するので、家で作るのも結構贅沢だ。カニカマを使っても、十分美味しいチャーハンになるだろう。

 本書には、ほとんど調理が不要な簡単料理から本格的な料理まで全35品のレシピが掲載されており、「1日外出録ハンチョウ」の読者なら、ページをめくる度に「ああ、あの回に出てきた料理か!」と本編のシーンが頭によぎる。ファンなら最大限に本書を楽しめるので是非手に取っていただきたいが、一方本書はハンチョウ成分を抜きにしても、純粋に料理初心者向けレシピ本として実用的だ。「カイジ」ワールドを知らない人でも、逆に本書をきっかけに「カイジ」の世界に触れてみるのもいいのではないだろうか。