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映画「キングダム 大将軍の帰還」がいよいよ7月12日全国ロードショー公開。読むとハマる、古代中国大河ロマンの魅力を改めて紹介!

【キングダム 大将軍の帰還】

7月12日 公開

【マンガ「キングダム」】

週刊ヤングジャンプにて連載中

 古代中華戦国大河ロマンマンガ「キングダム」の実写映画最新作「キングダム 大将軍の帰還」が本日7月12日に全国ロードショー公開される。

 本作は2019年より続く実写版「キングダム」の第4作目にあたる作品。前作「キングダム 運命の炎」では、馬陽の戦いの途中、龐煖(ほうけん)が登場したところまでで終わっており、今作とあわせた前後編のようになっている。今作ではコミックスの14巻から16巻で描かれている?煖と王騎将軍の激突や、過去の因縁が実写化される。馬陽の戦いのクライマックスをすべて盛り込んだ濃密な内容になる。

「キングダム 大将軍の帰還」

 出演は、前作に引き続き、主人公「信」を山崎賢人さん、秦王「嬴政」を吉沢亮さん、「王騎」を大沢たかおさんが演じている。マンガを原作にした近作の映画では、マンガに寄せたキャラクター造形が話題になることが多いが、「キングダム」の実写映画シリーズでは大沢さん演じる王騎将軍が腕組みをして遠くを見つめている画像はネットミーム化しているので、原作をしらずとも目にした人は多いのではないだろうか。

 原泰久氏による原作「キングダム」は、集英社の「週刊ヤングジャンプ」にて連載中で、現在コミックスとしては72巻まで刊行されている。さすがにこれだけの長編となると、ためし読むにしても少々腰が引けてしまうかもしれない。そこで、この記事では、原作「キングダム」のどこがすごいのか、見どころやベースとなっている歴史、主要な登場人物など、これから「キングダム」を履修しようと思っている人がなんとしても読みたくなるような魅力を紹介したい。

【【主題歌入り予告】映画『キングダム 大将軍の帰還』7月12日(金)公開】

 こちらのが第1作目「キングダム」にて王騎演じる大沢たかおさんの画像。Xなどでネットミームになっている

「キングダム」の原作は歴史の教科書でもおなじみ「史記」がベース

 前漢の歴史家、司馬遷が編纂した歴史書「史記」の名前は、歴史の教科書でもおなじみで一度は聞いたことがあるだろう。だが、実際に読んだことがある人はそれほど多くはないかもしれない。この「史記」こそ、「キングダム」の原作なのだ。

 「史記」は伝説上の皇帝、黄帝から前漢の武帝までの歴史がまとめられた大著。内容を大きく分けると、出来事を時系列でまとめた「本紀」と、王侯などの家筋をまとめた「世家」、重要人物のプロフィールをまとめた「列伝」などがあり、この形式は、この後に作られる歴史書のテンプレートとなった。

 これは今風に言うと、プロットと登場人物設定のようなもので、後は少しの創造力もしくは妄想力があれば、古代中国で繰り広げられた戦争や陰謀を鮮やかに描き出すことができる。有名な「三国志演義」も、本紀と列伝で作られた「正史三国志」を物語として再構築したものだ。

 「キングダム」は作者が仙人の話を描くための資料として読んでいた「史記」に魅せられたことが、作品が生まれるきっかけとなった。主人公信や政はもちろん、羌瘣や王騎ら多くの登場人物には、実在したモデルがいる。もちろんマンガ通りの人物ではないが、少ない資料の中から、作者がどのようにキャラクターを作り上げたのかを考えるのも、史実をベースにしている歴史ものの楽しさだ。ネット上には、史実を踏まえたキャラクター考察動画が大量にアップされている。

異能、天才、英雄が入り乱れた破天荒な時代

 そんな「キングダム」の舞台は周が滅亡し、秦の始皇帝が再び中華を統一するまでの約550年間の、いわゆる春秋戦国時代と呼ばれる戦乱の時代。奴隷の信は、同じ奴隷で親友の漂と共に天下の大将軍を夢見て、辛い日々の中修行に打ち込んでいた。だが、秦で起こった政変によって漂は命を落とし、信は秦王政とともに戦うことになる。

 最初は一兵卒からスタートした信だが、傑出した武力で武功を上げ、次第に出世していく。戦場で将軍たちの熾烈な戦いを目にした信は、自分の力不足を感じて、秦の伝説的な将軍、王騎のもとへ弟子入りを志願する。だが、信の修行が終わるよりも早く、新たな戦いが始まり、引退したかに思えた王騎は再び大将軍として戦場に立つこととなる。

 「キングダム」の登場人物は見た目の性格もかなりの曲者ぞろい。その中でも王騎将軍はひと目見たら忘れられない強烈な見た目と、「コココココ」という独特な笑い方で、読者の印象に焼き付く存在だ。秦王政の祖父昭王と共に戦場を駆け巡った六大将軍の1人で、中華全土に有名を轟かせている。信にとっては、人生の指針を与えてくれる師のような存在であり、物語序盤のカギを握る重要な人物でもある。

 武将だけではない。秦に協力してくれる山岳民族や、神を下ろして人間を超えた剣術を使う蚩尤(しゆう)の一族、今作の映画で最凶の敵として立ちふさがる武神龐煖(ほうけん)など、神がかり的に強く、そして個性的な人物が多数登場する。映画のベースとなっている馬陽の戦いでの主だった登場人物を紹介しよう。

信(しん)

 「キングダム」の主人公。死んだ親友漂と約束した、天下の大将軍になるという夢を目指している。まだ少年だが、ずば抜けた剣技で敵を薙ぎ払う。陽気でけんかっ早い性格だが、自己を顧みる冷静さも持っている。王騎から直属の百人隊隊長に任命され、自身の部隊「飛信隊」を率いて戦場を駆ける。

嬴政(えいせい)

 秦国の若き大王。信の親友だった漂とうり二つの見た目をしている。自分にも他人にも厳しい性格。幼いころ、人質として他国で育ったため驕ったところがない。側近の昌文君らとともに、国政を乗っ取ろうとしている宰相呂不韋と対立している。いつかは中華統一という夢を描いている。

河了貂(かりょうてん)

 信と政を助けたことから行動を共にするようになる。信が部隊を率いるようになると、共に戦うために軍師の道を志して信のもとを一時離れる。

羌瘣(きょうかい)

 外界とは閉ざされた山奥に暮らす暗殺者の一族出身の少女で、神を下ろして戦う舞踏のような剣術を使う蚩尤(しゆう)という特殊な暗殺者。信の部隊の副長を勤めている。姉を殺された復讐のために生きているが、信と出会うことで仲間と共に生きる道を考えるようになる。

王騎(おうき)

 秦の昭王と共に戦った最強「六大将軍」の1人で、「秦の怪鳥」という異名を持つ。昭王の死後は第一線を引いていたが、中華を統一するという政の言葉を受けて再び大将軍として軍を率いて馬陽の戦いに挑む。

将と兵、どちらの視点も楽しめる戦場の描き方

 数十万の大軍が激突する大戦争は「キングダム」の最も熱いシーンだ。だが単に武力のぶつかり合いだけに終わらないのが「キングダム」で描かれる戦場の魅力だ。もちろん武力がぶつかり合う個人戦も熱いが、軍師同士の知力の戦いや、大軍だからこその集団戦など戦場には様々な思惑が入り乱れる。

 主人公信が5人で1組を作る「伍」として戦っていた歩兵時代には、騎馬兵や戦車、弓兵に蹂躙されながら必死に生き残ろうとする歩兵の戦いが描かれる。信が出世して部下が増えると、今度は少人数が集まって力を発揮する「集」の戦いかたが、さらに部隊が大きくなると用兵を意識した戦術を駆使した集団戦へと、巻が進むにつれて様々な視点から戦場が描かれていく。

 さらに誰がどこに陣を張り、どう軍を動かしているかも、適宜地図で示される。だいたいどこの戦場にも解説役がいて、戦場の地形の説明や、その地形の利点や弱点、どこに陣を張れば有利になるのかという戦略上の情報も刻々と動く戦況に合わせて紹介してくれるので、読者は信とともに前線を駆けるだけではなく、戦場全体を俯瞰した視点も楽しむことができる。

 いうなれば、まるでストラテジーゲームの中で、大軍を俯瞰した視点で見たり、個別の戦場にフォーカスしたりを切り換えるような感覚で、将と兵、両方の視点から戦場を見ることができるわけだ。

「キングダム」をお買い得に読むには

 ここまで読んで「キングダム」に興味を持ってもらえたなら、まずはためし読みから利用してほしい。映画最新作が公開される7月現在、「コミックシーモア」や「LINEマンガ」など多くのマンガサイトでは、映画の公開を記念して1~5巻までと、映画の続きとなる17巻、18巻が無料で読めるキャンペーンを行なっている。

 また、HNKで放送されたTVアニメ「キングダム」を配信で見ることもできる。映画の公開に合わせ様々な入口が用意されているため「キングダム」を読んで、さらに興味を持ったらぜひ「史記」にも挑戦してみて欲しい。

7/31日23:59まで1~5巻、17巻、18巻が無料のサイト

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