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伝統と革新を揺れ動く「入江明日香展 2026―月影とまどろみ」東京・大阪の高島屋で開催

【入江明日香展 2026―月影とまどろみ】
会場:日本橋髙島屋S.C.本館8階ホール
日程:2026年4月22日~5月6日
会場:大阪髙島屋7階グランドホール
日程:2026年5月14日~29日
夢幻対峙之図(部分) 2025年 六曲一隻屏風 ミクストメディア 158×516cm

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 高島屋では、2026年4月22日から5月6日まで日本橋髙島屋S.C.本館8階ホールにて、2026年5月14日から5月29日まで大阪髙島屋7階グランドホールにて「入江明日香展 2026―月影とまどろみ」を開催する。

 入江明日香氏(1980年東京生まれ)は、多摩美術大学大学院前期課程美術研究科版画領域を修了後、2012年には文化庁新進芸術家海外研修員としてパリに1年滞在した。

 一版多色刷りの高度な技法を探求し、自身の版画作品を素材としてコラージュする独自のミクストメディア表現を確立し、繊細かつ力強い作品世界で多くの人々を魅了している。

 今回の展覧会では、一昨年に制作した六曲一隻屏風《黒雲妖炎龍図》の対となる新作《夢幻対峙之図》を一双屏風として初公開。また、過去の代表作ならびに近年の新作約60点を展示し、入江氏の作品世界を堪能できる内容となっている。

【入江明日香氏からのメッセージ】

初期作から最新作まで、私の歩みを辿る展覧会となりました。龍虎が対峙する六曲一双屏風の初披露に加え、昨今はリトグラフへの挑戦や映像という新たな表現にも踏み出しています。伝統と革新の間を揺れながら、自分なりの表現のかたちを探り続けています。
ご覧いただけること、心より感謝申し上げます。

開催概要

展覧会名:入江明日香展 2026―月影とまどろみ
会期会場:
【日本橋髙島屋S.C. 本館 8階ホール】
開催日:2026年4月22日~5月6日
開催時間:10時30分~19時(19時30分閉場)
※最終日は17時30分まで(18時閉場)

【大阪髙島屋 7階グランドホール】
開催日:2026年5月14日~5月29日
開催時間:10時~18時30分(19時閉場)
※最終日は16時30分まで(17時閉場)

入場料:一般1,200円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
前売券:一般1,000円、大学・高校生800円
※前売券は2026年1月14日から発売予定

「入江明日香展 2026―月影とまどろみ」公式ホームページ

展示構成

初期の抽象と版画表現の変遷

 現在のミクストメディア作品を支える、初期からの抽象表現や一版多色刷りなどの高度な版画技術に焦点を当てる。愛用の道具類や版画のモチーフも参考展示。また、本年初挑戦した華やかなリトグラフ作品も原画とともに披露する。

「眠る雨」2004年 ミクストメディア 130×138cm 丸沼芸術の森
「La couturière(裁縫師)」 2021年 エングレーヴィング・エッチング、紙 30×20cm 作家蔵
「La Volière de la Lune(月の鳥籠)」 2025年 ミクストメディア 90×70cm 個人蔵

アンドロギュヌスな勇士たち

 入江作品の中でも特に人気の高い、中性的な魅力をたたえた勇士たちが勢ぞろい。動物を従えて鎧甲冑に身を包んだ美しい戦士、東大寺の四天王から着想を得て制作されたキャラクターたちは、見えない世界で私たちを守ってくれているかのよう。

「La forêt blanche(白い森)」 2016年 ミクストメディア 170×122cm 個人蔵
「L'Alpha et l'Oméga(始まりと終わり)」(左隻)2019年 六曲一双屏風 ミクストメディア 158×516cm 丸沼芸術の森

フランスからの便り

 2012年、文化庁新進芸術家海外研修員としてフランス・パリに派遣された入江氏は、その後も幾度となく同地を訪れ、街の風景やモチーフを取り入れた作品を数多く制作している。作品タイトルにフランス語を用いることが増えたのも、彼女ならではの大きな特徴のひとつ。

「Le Petit Cardinal(ル・プティ・カルディナル)」 2014年 六曲一隻屏風 ミクストメディア 158×516cm 丸沼芸術の森
「Un matin d'hiver à Paris(パリの冬の朝)」 2017年 ミクストメディア 70×60cm 個人蔵
「Parures du cosmos(宙のもよう)」 2025年 ミクストメディア 53×45cm 個人蔵

かわいい動物vs怪しい動物

 入江作品に華を添える、愛らしい動物たち、はたまた魔界から現れたかのような、恐ろしくも美しい動物たち。相反するテイストながら、どちらも作家の遊び心と想像力から生まれた魅力あふれる作品群となっている。

「Hachi le chat, chef cuisinier(猫のシェフ“ハチ”)」 2019年 ミクストメディア 40×30cm 個人蔵
「猫祭り」 2020年 ミクストメディア 40×30cm 個人蔵
「葭始生(あしはじめてしょうず)」 2020年 ミクストメディア 100×50cm 丸沼芸術の森
「Le Tigre(虎)」 2025年 ミクストメディア 53×45cm 個人蔵

和のエッセンス

 節句や暦、陰陽五行、歌舞伎など日本の伝統文化に着想を得た作品を通じて、“和”の精神と現代美の融合を探る。2023年制作の「黒雲妖炎龍図」(龍を主題)と新作「夢幻対峙之図」(虎を主題)を六曲一双の屏風として初公開し、その壮麗な入江氏の世界観を披露する。また、「東海道五十三次」シリーズをはじめとする過去の名作へのオマージュ作品も展示する。

「平成 東海道五拾三次之内:日本橋 (入江明日香オリジナル)」2015年 ミクストメディア 60×50cm 丸沼芸術の森
「黒雲妖炎龍図」 2023年 六曲一隻屏風 ミクストメディア 158×516cm 丸沼芸術の森

映像コーナー

 六曲一双の大型屏風「L'Alpha et l'Oméga(始まりと終わり)」の右隻に描かれた馬に乗って疾走する戦士をベースに制作されたアニメーション映像を大画面で放映する。入江氏の描いたパーツそれぞれが動き出し、見る人を異次元空間へと導く。